最終年度となる当該年度は、前年度からの継続課題である3つの研究課題(①「テオク」から生じる失礼さ、②歴史的回想を表す「~ていった」、③「~てのける」の評価的意味)に取り組んだ。 いずれも、これまでに調査、分析した内容の精査を行い、学術論文としてまとめることに専念した。①は学会誌『日語偏誤与日語教学研究』8輯、②は所属機関の紀要、③は研究会誌において、その成果を公表した。また、前年度までは、各機能語の意味・機能を中心に分析してきたが、本年度は、上級以上の学習者支援を念頭に、これらを点検した。なぜ、これらの機能語が日本語学習者の困難点になるのかについて詳しい説明を加えることや、どのようにこれらを学習者に提示すればよいのかなど、日本語教育の観点からの具体的な提案を加え、補強した。 そして、複数のテ形接続の機能語(上記の3つの研究課題を含む計11の項目)に関する調査、分析結果を通して、上級よりもさらに上を目指す日本語学習者を支援するために何が必要かについて検討した。まとめとして、3つの観点(なじみ度、出題基準に盛り込まれない理由、文法化)から各項目の位置づけを示し、上級以上の日本語学習者支援のためには、教える側が「不要」、「役に立たない」と決めるのではなく、全体の整備を進めた上で学習者が必要な項目を選択できるようにすることや、熟達した日本語学習者の助言を取り入れていく必要性を主張した。 これらの研究成果をまとめ、博士学位申請論文を執筆し、提出した。
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