研究実績の概要 |
モノテルペノイドインドールアルカロイド類(MTIAs)の中には、インドール中のベンゼン環が酸化的に修飾されているものがいくつか知れらている。本年度はこれらの変換が参加楮によってMTIAs生合成の後期に行われていることに着目し、本変換のフラスコ内での再現を試みた。インドールは2位の高い求核性のため、容易に酸化剤と反応して3位置換インドレニン中間体を与えることが知られている。また、インドレニン類は2位に求電子性を有しているため、求核剤と反応して高いパラ配向性を持つアニリン構造含有インドリンを与える。申請者は、一つのフラスコ内でインドールからインドレニン、そしてインドリンへと変換することで、インドール5位選択的な官能基化が見込めると期待した。検討の結果、MTIAsに共通の構造体であるindolo[2,3-a]quinolizidineをモデル基質として、メタノール中、塩酸の存在下で臭素化剤(pyridiniumbromide perbromide)を作用させたところ、5位がブロモ基に置換されたインドール誘導体が単一の異性体として高収率で得られることを見出した。本反応は当研究室が保有するいくつかの天然物ライブラリー化合物についても実施し、18種の天然物およびその誘導体についての一般性を確認することができた。さらに、合成したブロモ化天然物のうち、10-ブロモヨヒンビンを起点として各種カップリング反応条件に付すことで、ヘテロ二量体化合物を含む様々なインドール5位置換型のヨヒンビンライブラリーを構築することに成功した。本成果は今後、様々な疑似天然物の創出に応用することで、医薬品候補化合物の供給の新たな足掛かりとなることが期待される。
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