研究課題
二次リンパ組織は獲得免疫の調節を司るため、免疫制御を目的とした薬物の重要な標的組織と考えられる。そこで、二次リンパ組織を標的としたmRNA送達を目的として、キャリアである脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle: LNP)の処方設計をおこなった。本研究ではアポトーシス細胞の貪食を促進する"eat-me"シグナルとして知られるリン脂質のホスファチジルセリン(phosphatidylserine: PS)を組成中に導入した。この際、本来はアルコール難溶性であるPSの脂肪酸鎖を改変することにより、アルコール可溶型のPSを合成した。PSをアルコール溶液の状態で扱うことにより、マイクロ流体技術を用いた再現性の高いLNP調製を適用刷ることが可能となった。in vitroの評価系において、PS搭載LNPは生体内のPS受容体であるTim-4への結合能に優れていたことから、PSはLNP上でもリガンドとして機能することが明らかになった。続いてin vivoにおいてPS搭載LNPの動態的特性を評価したところ、本LNPは従来から作成されてきた一般的なLNP組成と比較して、静脈内投与後に脾臓へより効率的に集積した。そしてPS搭載LNPにmRNAを封入することにより、脾臓を標的組織としたmRNA送達技術を構築することに成功した。また、脾臓の細胞レベルの解析により、LNPおよび封入mRNAは脾臓常在性の赤脾マクロファージおよび辺縁帯マクロファージを主要な標的細胞とすることが明らかになった。さらに本研究では、PS搭載LNPのin vivoにおける薬理機能についても検証した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Advanced Healthcare Materials
巻: 12 ページ: -
10.1002/adhm.202202528