研究課題
2023年度は、6月末から7月初めにかけて米国アラスカ州グルカナ氷河において、雪氷藻類の繁殖により積雪表面が赤く色づいた赤雪の採取を行った。また、昨年度より引き続き実施していた、溶存有機態窒素の測定法を確立し、2022年および2023年に採取したグルカナ氷河のサンプルの分析を行った。その結果、積雪、氷表面に関わらず、溶存有機態窒素の豊富な地点で雪氷藻類が繁殖し、その後溶存有機態窒素が減少していることが明らかとなった。また、藻類の大きさや、種の多様性が、溶存有機態窒素の少ない地点で大きくなっていることが明らかになった。このことから、積雪生態系モデルの構築には、生物が栄養として利用する窒素(硝酸イオン、アンモニウムイオン)および溶存有機態窒素をパラメータとしたモデルの構築が必要である可能性が示された。中でもアンモニウムイオンに関しては、これまで行ってきた試料採取および保管方法では、分析までに濃度が有意に変化してしまう可能性を指摘いただき、現地でアンモニウムイオンを測定する方法の開発にも取り組んだ。現在、実施試験を終了しており、来年度以降の調査で導入、測定し、積雪生態系モデルのパラメータとしての導入を検討している。また、2023年度は最終年度であることから、研究機関全体を通して行った分析および得られた成果のうち、積雪内の雪氷生物の日周期および季節変動に関する成果を学術論文として執筆を進めると同時に、氷河上の雪氷生物の季節変化に関する結果を国内外の学会にて発表した。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Ecological Indicators
巻: 154 ページ: 110460~110460
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Polar Biology
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