研究課題/領域番号 |
22J11367
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
神 亮太 千葉大学, 医学薬学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 病態進行モデリング / 臨床試験個別データ / ニューラルネットワーク / パーキンソン病 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
令和4年度は機械学習をベースとしてSReFTを行うアルゴリズムの開発を中心に実施した。開発されたアルゴリズム(SReFT-ML)は断片的な観測データから長期的な変化を推定可能であることが合成データから確認された。また試験的に行った実臨床データの解析においても同様に長期的変化を捉えられる可能性が示唆された。これらの成果はCBI学会2022年大会、日本薬学会第143年会にて学会報告した。 また患者の生存時間も観測断片から長期推移を復元するための情報を含んでいると考え、生存時間解析とSReFT-MLを組み合わせることによる推定精度の向上を検討した。現段階ではSReFT-MLの実行後に事後的に生存時間解析を実行して結果の妥当性を検証できるレベルに留まっているものの、今後SReFT-MLとの同時解析が実現できるように調整を図る。現段階でもSReFT-MLが推定した長期的な病態の中でイベントリスクを評価することが可能であり、重要な知見を与えてくれるものと考えている。この成果については2022年度統計関連学会連合大会、日本薬学会第143年会にて学会報告した。 一方で共変量効果の検出力は低く、強力に作用する共変量しか検出できない課題が残った。今後は共変量のネットワークへの与え方や共変量を組み込んだ際の目的関数の扱いを変更することなどで感度良く共変量を検出できるよう改良を継続していく。 パーキンソン病臨床試験データについては既に利用可能なPPMIの他にDATATOPなど他試験情報の利用も検討していたが、PPMIが現在進行中の試験であり本研究計画時からさらに被験者が増えたこと、他の試験とPPMIから得られるデータ間の異質性の調整に想定以上の工程を要すると考えられることから、PPMIのデータを中心に進めていくこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度はアルゴリズムの構築を中心に行うことを想定していた。現在、共変量効果の推定には課題が残るもののアルゴリズムの基本骨格は完成しており、おおむね順調と考える。 また実データについてもPPMIデータベースを中心に使用する方針としたため、構築済みのデータ処理が流用でき、既に解析可能な状態となっている。以上より令和5年度に想定している実データ解析へスムーズに移行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度ではPPMIデータベースを用いた実データの解析を行う。その解析結果と従来の非線形混合効果モデルをベースとしたSReFTとを比較し妥当性を検証、これらの成果について学会、論文で報告する。 また状況に応じて令和4年度に開発したアルゴリズムについても別途論文報告を検討している。これに併せてアルゴリズムのマニュアル等を公開可能な形に整備し、パッケージとしてリリースする予定である。
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