小胞体内に蓄積した不良化タンパク質を選択的に認識し分解するシステムである小胞体選択的オートファジー(ER-phagy)に焦点を当て、その分子メカニズムの解明を目指した。ER-phagyは電子顕微鏡による発見当初よりその生理的意義について、小胞体内の不良化タンパク質を除去することで小胞体恒常性を維持するとした仮説が立てられていたが詳細は不明であった。凝集性モデル基質を用いた解析から我々は、Cell cycle progression protein 1 (CCPG1)と呼ばれる小胞体膜タンパク質の小胞体内腔ドメインが直接基質を認識し、オートファジー依存的な分解へと誘導することを見出した。また、CCPG1の小胞体内腔ドメインは脊椎動物間に保存された複数の基質認識ドメインを有することもわかった。CCPG1が細胞質ドメインにおいてRB1CC1/FIP200やLC3/GABARAP familyといったオートファジータンパク質と相互作用しているという過去の報告と合わせて、本研究からCCPG1は、オートファジータンパク質と小胞体内基質の双方に親和性を持つレセプタータンパク質であることが示唆され、これらの成果をまとめ発表した。
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