本研究では、地球史上において生物多様性が劇的に減少した大量絶滅事変のひとつである白亜紀末のK-Pg絶滅事変のメカニズム焦点を当てる。とりわけ、類似した殻形態を持つアンモナイトとオウムガイ類に注目し、アンモナイトはなぜ絶滅しオウムガイは絶滅を免れたのか、というテーマを扱う。その中でも、その要因の1つとして提唱されている仮説のひとつである海洋酸性化と絶滅の選択性について検証する。 本研究プロジェクトの初年度は、新型コロナウイルスの影響により、当初予定していた国外における野外調査や分析が遂行できなかった。また、研究代表者の長期滞在先であるニューヨーク市のロックダウンにより所属機関であるアメリカ自然史博物館に当年度初頭数か月間立ち入ることができず、ロックダウン緩和後も年度内を通して同博物館への立ち入りが週1~2回に制限された。短い時間の中ではあるが、標本の観察やCT撮影のための標本の選別を行った。いくつかの化石サンプルについてはCT撮影を行った。また既存の頭足類殻のCTデータなどを用いて形態の解析を行った。2021年度に繰り越して行った研究活動では、CT撮影・形態解析を中心に遂行した。2021年度においても野外調査の遂行が困難であったことから、これについては次年度以降に遂行する。また、化学分析については共同研究を予定している米国の研究機関がロックダウンにより閉鎖していたことが原因で進められていなかったが、これについても次年度に遂行する。
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