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2022 年度 実績報告書

セントロメア特異的に挿入するレトロトランスポゾンの転移機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J40149
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

塚原 小百合  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2025-03-31
キーワードレトロトランスポゾン / セントロメア
研究実績の概要

植物において、レトロトランスポゾンは多くの場合不活性化されているが、Copia型レトロトランスポゾンTal1は、シロイヌナズナの形質転換体において転移活性を持ち、セントロメア領域に特異的に挿入する性質をもつ。本研究では、Tal1がセントロメア領域に特異的に挿入するメカニズムについて調べるため、セントロメアターゲッティングに必要な宿主側の因子と、Tal1側の因子を同定することを目的として研究をすすめている。昨年度までの結果から、宿主側の因子の同定については、計画通りに進めるのが難しかったため、今年度はTal1側の因子の同定について研究を進めた。
Tal1がセントロメアをターゲットするのとは対照的に、Tal1と同じファミリーに属するレトロトランスポゾンATCOPIA93は、シロイヌナズナゲノムにおいて遺伝子領域に転移する性質を持つ。Tal1のセントロメアターゲティングにTal1配列のどの領域が必要なのかを調べるため、昨年度までにTal1とATCOPIA93とのキメラ配列を複数パターン作成し、それぞれの形質転換体を作成している。今年度は、各キメラ配列の転移挿入先を網羅的に調べるため、トランスポゾン特異的なプライマーを用いたシーケンシングを行った。その結果、Tal1のインテグレースをコードする領域、その中でも特にC末端側の、Tal1とATCOPIA93とで配列が大きく異なる部分を含む領域がセントロメアターゲティングに必要であることを示唆する結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

セントロメアターゲティングに必要な宿主側の因子の探索については当初の計画通りに進まなかったものの、Tal1側の因子の探索について、結果を得ることができた。Tal1とATCOPIA93とのキメラ配列を導入した形質転換体において、そのゲノムDNAを抽出し、トランスポゾン特異的なプライマーを用いたシーケンシングを行うことにより、転移したキメラ配列の挿入位置をゲノムワイドに調べた。リードのマッピングにおいては、2021年に発表されたシロイヌナズナのゲノム配列を参照配列として用いた。この参照配列では、シロイヌナズナのセントロメア領域が解読されており(Naish et al. Science 2021)、セントロメア領域へのマッピングが可能となった。シーケンスの結果から、レトロトランスポゾンがゲノムに挿入する際に必要なタンパクであるインテグレースをコードする領域が、Tal1のセントロメアへのターゲッティングに効いていることが示唆される結果を得た。インテグレース領域の中でも、Tal1 とATCOPIA93とで共通するN末端側の領域と、かなり異なるC末端側の領域のうち、セントロメアへのターゲッティングにはC末端側の領域が重要であることが示唆された。さらに、Tal1が挿入する領域は、セントロメアのコアな領域であることもわかり、セントロメアリピート配列を標的としているわけではないことが示された。

今後の研究の推進方策

キメラ配列の実験から、Tal1インテグレース領域がセントロメアターゲティングに関わることを示す結果を得たので、今後は、Tal1のインテグレースに対する抗体を作成し、Tal1インテグレースと相互作用する因子をIP-MSを用いて特定する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Targeted integrations of copia and gypsy retroelements into non-genic repetitive regions in Arabidopsis2022

    • 著者名/発表者名
      Tetsuji Kakutani
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Asia ‘Integrative Epigenetics in Plants’,
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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