研究課題
本研究の目的は、RBSPs衛星で観測されたpoloidal ULF波動の励起メカニズムならびに粒子の拡散過程について、数値シミュレーションを行うことでそのメカニズムを解明することである。本年度は、昨年度に引き続電離圏ポテンシャルモデルとモデル結合したドリフト運動論的グローバルシミュレーションを実施した。境界条件の設定時に生じた人工的な振動を除去するためのプログラムの改良を行ったところ、以前のシミュレーション結果で見られていた波数が大きく波動粒子相互作用で励起している可能性があるcompressionalな磁場変動は確認されなくなった。また、サブストームの回復相においてRegion-1 field-aligned currentの時空間変化が起こると同時にradial方向の磁場振動が認められた。磁力線沿いの擾乱の伝搬についてみてみると、南半球から発生したAlfvenicな擾乱が北向きに伝搬していることが分かった。以上の内容をJpGU2023、URSI2023、SGEPSS2023学会にて発表した。またdrift-compressional modeの励起についてあらせ衛星のデータ解析を行い、共鳴イオンの位相空間密度の空間勾配が引き起こすdrift共鳴不安定によって励起することを示した。この内容についてはGeophysical Research Letters誌に投稿・掲載された。研究時間全体を通して、観測で見られたpoloidal ULF 波動を再現するには至っておらず、シミュレーションモデルで考慮されていない物理過程が重要であることが示唆された。また、太陽風による擾乱源がないにも関わらずtoroidal ULF波動が見られることは、従来考えられている励起メカニズムに再考を迫るものである。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Geophysical Research Letters
巻: 51 ページ: -
10.1029/2023GL107707
