研究課題/領域番号 |
21J01294
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 和樹 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | TGF-β / 内皮間葉移行 |
研究実績の概要 |
TGF-βはがん細胞の浸潤・転移において重要な役割を担っており、申請者はTGF-βによる上皮がん細胞の転移を制御する新規因子を同定した。 しかしながら、TGF-βによって転移能が亢進したががん細胞が実際に転移するときに血管内に侵入する分子機序や血管に生じている事象については未解明である。そこで、本研究ではEndMTが誘導された3次元微小血管にがん細胞が侵入するプロセスをライブイメージングできる新規モデルを開発し、そのモデルを用いてEndMTと新規因子を介したがん転移のメカニズムを解明し、新規治療法の開発を目指すことを目的とする。具体的には、(1)がん細胞の血管内侵入における血管内皮細胞のEndMTの役割を解明し、さらに(2)がん細胞の血管内侵入における新規因子の役割を解明、そして(3)がん細胞の血管内侵入を標的とした新規治療法の開発を目指して研究を推進した。 (1)がん細胞の血管内侵入における血管内皮細胞のEndMTの役割を解明においてEndoMTの動体を可視化する上で必要な、EndoMTを蛍光タンパク質で可視化することができる内皮細胞を樹立した。 さらに樹立した内皮細胞を用いてTGF-βによるEndoMTの誘導ならびに3次元微小血管を用いたの血管の構築が可能であることが確認することができた。 (2)がん細胞の血管内侵入における新規因子の役割を解明において、樹立した内皮細胞を用いてRNAシーケンスを行い、現在がん細胞の血管内侵入に関与が考えられる因子の同定を行なっている。 (3)がん細胞の血管内侵入を標的とした新規治療法の開発において新たにTGF-βをシグナルを抑制することができる生物製剤のリコンビナントタンパク質の精製をおこない、その機能を確認している。 さらに同定された癌細胞の転移に関与する新規因子は現在、癌細胞における転移機序に関して論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
癌細胞が血管へ転移するさいEndoMTが関与しているかを明らかにする上で必要なEndoMT可視化内皮細胞の樹立とTGF-βによるEndoMTの誘導の確認が取れた。さらに、癌細胞の血管内侵入の解析に必要な3次元微小血管をEndoMT可視化内皮細胞が可能であることが明らかとなり、現在癌細胞が血管内侵入するさいにEndoMTが生じているかを解析中である。 さらに、EndoMTを誘導する因子を同定するうえでEndoMT可視化内皮細胞を用いてRNAシーケンスを施行し、現在解析中である。 また、癌細胞の転移に関与する新規因子は現在、癌細胞における転移機序に関して論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
EndoMT可視化内皮細胞を用いてEndoMTの誘導、3次元微小血管の構築が確認取れた。そこで、癌細胞が転移時にEndoMTが誘導されているかを3次元微小血管を解析する。さらにEndoMT可視化内皮細胞の元となる内皮細胞特異的にEndoMT可視化マウスを用いて生体内における癌細胞の転移をEndoMTの関与について検討する。 くわえて、癌細胞の転移に関与する新規因子による転移時の血管内侵入のさいにEndoMTを誘導するのか、またどのような因子が関与しているかを明らかにしていく。
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