研究課題/領域番号 |
21J20074
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平野 正徳 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
キーワード | 金融市場シミュレーション / 人工市場 / 金融市場 / データマイニング / 注文データ / 深層学習 |
研究実績の概要 |
1年目の研究として作成した金融市場に存在する膨大な注文データを有効に活用するためのデータマイニング手法を活用した金融市場シミュレーションの妥当性評価技術の開発を,2年目の研究として達成できた.この結果は,国際会議でBest Paper獲得(6th IEEE International Conference on Agents)などをはじめとして,日本国内でも世界的にもマルチエージェントシミュレーションの分野で高く評価されている.さらに,1年目の研究成果のArtificial Market Data Mining Platformを活用した金融市場の構造分析もThe 24th International Conference on Principles and Practice of Multi-Agent Systems (PRIMA 2022)というマルチエージェントシミュレーションのレベルの高い会議に採択された.さらに,マルチエージェントシミュレーションのパラメータチューニングにフォーカスした研究も追加で実施し,それらの結果も,国際会議(12th International Conference on Smart Computing and Artificial Intelligence in 13th IIAI International Congress on Advanced Applied Informatics)で採択されるなど,順調に研究が進捗している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国際会議でBest Paper獲得(6th IEEE International Conference on Agents)のほか,複数の国際会議に採択されているなどの客観的事実から,研究は順調に進展していると考えている. データマイニングの金融市場シミュレーションの活用においては,トレーダのモデルにデータマイニング手法を適用する手法と,シミュレーションの評価方法としてデータマイニングを活用する方法が可能性があることが2021年度の検討から明らかになった.一方で,前者の使用方法に関してはモデル構築に対して直接データを使用してしまうと,シミュレーション環境で異常な挙動をしてしまう現象が確認できており,異なる使用方法をする必要があることも明らかになった.そのため,新たな使い方として,モデルパラメータのチューニングにデータを活用する方法の模索を実施することとしていた.後者の使い方に関しては,すでに2021年度で実施したGANを用いたデータ活用の一環として,シミュレーションの出力をGANのcriticを用いて評価することで,シミュレーションの出力の現実味を定量化できると考え,この技術の開発に2022年度は取り組んだ. この軌道修正後の計画は,非常に順調に進み,すべて完了し,追加でマルチエージェントシミュレーションのパラメータチューニングにフォーカスした研究も行えた点では,当初の計画より進んだと言えると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究では,金融市場シミュレーションのためのデータマイニング手法の検討・開発を実施した.2022年度の研究では,2021年度に開発したデータマイニング手法を活用して,金融市場シミュレーションの妥当性評価を行う手法の開発を達成した.さらに,マルチエージェントシミュレーションのパラメータチューニングにフォーカスした研究も追加で実施し,効率的なパラメータ探索を行う深層学習ベースの手法を開発した.これらの研究は,国際会議でBest Paper獲得(6th IEEE International Conference on Agents)などをはじめとして,日本国内でも世界的にもマルチエージェントシミュレーションの分野で高く評価されているなど,評価されてきている.2023年度以降の研究ではこれらの研究を踏まえたうえで,金融市場シミュレーションの妥当性評価が高くなるようなシミュレーションパラメータを探索できるように,ここまでの研究を融合させた技術の開発・検証を行う.これまで国際的に評価を受けてきた技術の積み上げとして組み合わせた技術を開発することは,実現可能な計画であると考えている.また,最終年度であることも踏まえ,これまでの研究も含め,特に査読ありの国際会議やジャーナルを中心に,対外的な発表を積極的におこなうことを想定している.
|