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2023 年度 実績報告書

アクティブマターにおけるトポロジカル現象の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0547
配分区分基金
研究機関東京大学

研究代表者

曽根 和樹  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードトポロジカル絶縁体 / アクティブマター / 非エルミート / 非線型
研究実績の概要

最終年度となる本年度では、アクティブマターに代表されるような非線形な系におけるトポロジカル現象の基本原理の解明に向けた研究を行った。特に、2次元非線形系を特徴づけるトポロジカル指数として線形系で知られているチャーン数の拡張を提案し、そのバルクエッジ対応、即ち非ゼロな非線形チャーン数と局在状態の存在の間の対応を示した。このチャーン数は、従来、線形系で議論されてきたバンド構造や固有値問題の非線形拡張に基づいて定義される。特に、非線形系特有の現象として、非線形波動の振幅の変化によってトポロジーが変わる非線形性誘起トポロジカル相転移が起こることをモデル計算から確認し、そのトポロジカル相転移が非線形チャーン数によって捉えられることを示した。
さらに、非線形トポロジカル絶縁体のモデルにおけるゼロ固有値状態を詳細に解析することで、トポロジカルな局在状態から空間カオスな状態へも変化することを示した。このようなカオス転移は非線形系におけるバルクエッジ対応の破れを引き起こす。この結果は、従来トポロジカル物質で信じられてきたバルクエッジ対応の反例を与える結果であるとともに、非線形物理における典型的な現象であるカオスがトポロジカル物性という全く異なる分野につながっていることを示す結果でもある。これらの成果についてまとめた論文を執筆、公表した。
研究機関全体を通じて、アクティブマターに備わっている非線形性や動的不安定性がトポロジカル現象にもたらす影響を明らかにしてきた。特に、非線形性の下でトポロジカルな性質を議論するための基本原理(バルクエッジ対応など)を明らかにした。これらの成果は生物に代表されるアクティブな系をトポロジーの観点から制御するための指導原理を与えることで、今後の工学などの発展につながる成果と言える。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件)

  • [雑誌論文] Nonlinearity-induced topological phase transition characterized by the nonlinear Chern number2024

    • 著者名/発表者名
      Sone Kazuki、Ezawa Motohiko、Ashida Yuto、Yoshioka Nobuyuki、Sagawa Takahiro
    • 雑誌名

      Nature Physics

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41567-024-02451-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Transition from topological to chaos in the nonlinear Su-Schrieffer-Heeger model2024

    • 著者名/発表者名
      Sone Kazuki、Ezawa Motohiko、Gong Zongping、Sawada Taro、Yoshioka Nobuyuki、Sagawa Takahiro
    • 雑誌名

      arXIv

      巻: 2403.03038 ページ: -

    • DOI

      10.48550/arXiv.2403.03038

  • [学会発表] Topological synchronization of coupled nonlinear oscillators2024

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Sone, Yuto Ashida, Takahiro Sagawa
    • 学会等名
      American Physical Society March Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 非線形SSH模型におけるトポロジカル/カオス転移2024

    • 著者名/発表者名
      曽根和樹, 江澤雅彦, Zongping Gong, 澤田太郎, 吉岡信行, 沙川貴大
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] Nonlinearity-induced topological phase transition characterized by the nonlinear Chern number2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Sone
    • 学会等名
      Frontiers in nonequilibrium physics: Active matter, topology and beyond
    • 国際学会
  • [学会発表] Topological synchronization of coupled nonlinear oscillators2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Sone, Yuto Ashida, Takahiro Sagawa
    • 学会等名
      STATPHYS28
    • 国際学会
  • [学会発表] Exceptional non-Hermitian topological edge mode and its application to active matter and topological laser2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Sone
    • 学会等名
      Physics of Open Systems and Beyond
    • 国際学会
  • [学会発表] Exceptional non-Hermitian topological edge mode and its application to active matter2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Sone
    • 学会等名
      The 7th International Soft Matter Conference, ISMC2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 非線形チャーン数に特徴づけられた非線形性誘起トポロジカル相転移2023

    • 著者名/発表者名
      曽根和樹, 江澤雅彦, 蘆田祐人, 吉岡信行, 沙川貴大
    • 学会等名
      日本物理学会2023年年次大会

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公開日: 2024-12-25  

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