素粒子の標準模型はQCDのシータ項に由来する強いCP問題を抱える。その解決策の有力候補として未知粒子アクシオンが予言された。重力の効果を考慮するとアクシオンによる強いCP問題の解決策は機能しなくなってしまう可能性があり、クオリティ問題として知られている。本研究ではクオリティ問題を引き起こす原因としてワームホールに注目して、アクシオン模型に対する影響を調べた。ミニマルな重力理論を拡張した模型について実際にワームホール解を計算して、有効的なシータ角を見積もった。本研究では、重力とPQスカラー場の非最小結合とリッチスカラーの2乗をミニマルな理論に加えた模型について議論した。先行研究から期待されるように、重力理論を拡張することでワームホールによるPQ対称性の破れの大きさは変化することが示された。特に、重力との非最小結合を加えることでクオリティ問題を回避できる可能性があることを示した。計量形式とPalatini形式における違いについても議論した。本研究はワームホールによるPQ対称性の破れに関する新たな理解を与えている。
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