研究課題/領域番号 |
21J20634
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西池 雄志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 性行動 / 攻撃行動 / ゲノム編集メダカ / 脳の性差 / 性ステロイド |
研究実績の概要 |
魚類の性行動と攻撃行動を制御する脳内メカニズムの解明を最終的な目標に据え、性ステロイドの作用に着目して研究を進めた。 性行動と攻撃行動の制御における各種性ステロイド/性ステロイド受容体シグナルの役割を明らかにするため、全6種類の性ステロイド受容体遺伝子についてノックアウトメダカを作出した。作出した全てのノックアウトメダカについて、性行動と攻撃行動パターンを解析し、表現型を比較することで、雌雄の性行動および攻撃行動パターンがいずれの性ステロイド/性ステロイド受容体シグナルによって制御されているかを明らかにした。 加えて、性ステロイド/性ステロイド受容体シグナルの下流で性行動や攻撃行動を制御する因子の探索を行った。本年度は、オス型の性行動と攻撃行動の制御に関わることが既知である2種類の神経ペプチドに着目した。アンドロゲン受容体のノックアウトメダカの脳内でこの2種類の神経ペプチドの発現パターンをin situ hybridizationで解析したところ、性行動や攻撃行動の制御に関わる神経核において、発現がほぼ消失していた。上記の行動解析において、アンドロゲン受容体ノックアウトメダカのオスでは性行動への積極性と攻撃性が著しく低下していたことから、今回着目した2種類の神経ペプチドが、アンドロゲン/アンドロゲン受容体シグナルの下流でオス型の行動パターンを制御する因子であると考えられた。 また、これまでの研究内容を国内・国際学会で発表し、若手研究者優秀発表賞等を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の軸となる、全6種類の性ステロイド受容体遺伝子の変異体メダカの作出、ならびにこれらの変異体メダカの性行動と攻撃行動の解析を全て終えた。さらに、その下流因子も特定することができた。これまでの研究内容を学会で国内および国際学会で発表し、発表賞を受賞したこともふまえ、当初の計画以上に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により、性行動および攻撃行動がいずれの性ステロイド/性ステロイド受容体シグナルによって制御されているかについて、多くの知見を蓄えることができた。今後は、その作用機序の解明に焦点を当て、研究を推進していく。
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