研究課題
本研究では、細胞死のトリガーとなるATPチャネルPannexin1、神経の分化を制御するPannexin2および骨細胞の分化にかかわるPannexin3についてクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析を試みた。我々はバキュロウイルスを用いた哺乳細胞によるPannexin1の大量発現系およびHisタグアフィニティークロマトグラフィー・ゲルろ過クロマトグラフィーによる精製系を確立した。界面活性剤中のPannexin1に対してクライオ電子顕微鏡による構造解析を試みたが、タンパク質粒子の気液界面への吸着に由来すると考えられる粒子の向きの偏りにより構造決定には至らなかった。そこでPannexin1を脂質nanodiscに再構成することで偏りを解消し、構造決定に足る密度マップを得た。密度マップより、Pannexin1が7量体チャネルを形成することを明らかにした。また、哺乳細胞によるPannexin2およびPannexin3の発現を融合させたGFPを用いた蛍光ゲルろ過クロマトグラフィーにて評価したところ、Pannexin3にが性状良く発現することが分かった。そこでPannexin3に関してPannexin1と同様の手法で大量発現・精製を行い構造解析を試みたが、粒子の不均一性などの問題から構造決定に足る密度マップは得られなかった。しかしその二次元平均像から、pannexin3がPannexin1と同様7量体チャネルを形成することを明らかにした。
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Nature Communications
巻: 15 ページ: -
10.1038/s41467-024-45046-z
Nature
巻: 616 ページ: 390~397
10.1038/s41586-023-05933-9