研究実績の概要 |
昨年度の低温高圧下の放射光X線散乱実験(BL37XU, SPring-8)は圧力がかかりにくい問題が発生しまいました。今度は、最初からより高い圧力で実験しました。その結果、トルエン(235-300 K, 0.4 GPa)とグリセロール(225-300 K, 0.4/0.9 GPa)の低温高圧下のX線散乱実験に初めて成功しました。高圧力下で、両方とも、構造は温度依存性がほとんどないことが分かりましてた。さらに、BL04B2でグリセロールの大気圧の構造因子をTgの180 Kまで測定し、トルエンと違って、こちらは低圧でも、構造は温度依存性が殆どありません。 X線は、グリセロールで重要な水素結合が直接見えない欠点があるため、JPARCの高圧回折ビームラインのPLANETで重水素化グリセロールの中性子構造因子を4.5 GPaまでの測定に成功しました。X線と同様、高圧力下で、第一ピークが小さくなり、第二ピークが大きくなることが分かりました。比較のため、重水素化エチレングリコールとメタノールの低温または高圧の中性子構造因子も測りました、エチレングリコールはグリセロールと似ていて、メタノールは異なる振る舞い(第一ピークが高くなる)がある結果になりました。 解析の方で計算では、Data Assimilationと言う、実験データを使って、高速、高信頼度に緩和時間が長いガラス状態の構造シミュレーション方を開発しました。小分子系専用のNeural Network Potential - Data Assimilationシミュレーションのプログラムも書きまして、現在は三つのサンプルの詳しい構造シミュレーションを行っています。
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