研究課題
今年度前半は続いて、水素結合液体・がラスの局所構造を実験と理論両方にで研究しました。具体的に、この前に研究してきたグリセロールと比較するため、メタノールとエチレングリコールのX線散乱因子の圧力と温度の依存性をSPring-8で測定しました。エチレングリコールはグリセロールと似ていて、局所構造は圧力・温度との依存性は小さいことが分かりました。一方で、メタノールは典型的なvan der Waals液体のように、高圧又は低温で、第一散乱ピークがかなりシャープになる実験データが得られました。理論では、高精度且つ高速で液体のシミュレーションが可能な第一原理計算で訓練した機械学習ポテンシャルを、分子系液体に特化した形で、計算用のプログラムを開発しました。昨年度で開発したデータ同化手法と合わせて、三つの水素結合液体・ガラスのX線・中性子散乱実験結果の再現に成功しました。メタノールの大きい圧力・温度依存性は主にメチル基関の秩序化によるものであることが分かりました。グリセロール・エチレングリコールは高圧力下で、パッキングがよくなりますが、秩序化は発生しません。年度後半は博士卒業し異動しましたが、前半と共通している第一原理計算手法で、半導体内の欠陥の物性を研究しています。研究期間で、新しいシミュレーション手法を開発して、X線・中性子散乱実験と理論計算を通して、分子系液体・ガラスの局所構造の温度・圧力依存性を系統的に研究しました。重要な実験データを多数得られたほか、ガラス転移理論の中で重要なエントロピー理論の有効性を多くの場合で示しました。低温且つ高圧条件でのガラス転移は複雑で、より深い検討の必要性も示しました。開発した計算方法は全ての構造解析で活用できると期待できます。
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arXiv
巻: 2402 ページ: 2402.06214