2023年度のはじめに、高圧実験における新たな加熱手法であるレーザー外熱式ダイヤモンドアンビルセルについて記載した共著論文が国際誌(査読あり)に掲載された。 また、この手法を用いて水素と水の10 GPa付近までにおける混和-不混和境界を決定するための実験を進めた。その結果、より低圧で行われた先行研究で得られたものよりも数百度低いところに境界が存在することが分かった。先行研究ではピストンシリンダーを用いており、高温高圧における試料のその場観察ができず、水と水素とともに岩石が多量に共存する系での実験であったため、透明なダイヤモンド越しに試料観察が可能であり水と水素のみを試料室に封入している我々の結果と異なっていたと考えられる。今回の結果を巨大氷惑星に適用すると、巨大氷惑星のガスエンベロープと内部の氷成分マントルが明瞭に分離してはおらず、混ざり合って存在している可能性が高いことが示された。本研究についてまとめた論文を近日投稿予定である。 さらに、H2Oの高圧高温条件下での電気伝導度測定についても研究・技術開発が進んでおり、超イオン相の出現に対応するXRDおよび伝導率のデータが得られている。データの蓄積を進めて解析し、研究成果としてまとめて予定である。 また、クライオSIMSを用いた水-アンモニア系の相図解明についても、特にサンプルを液体窒素温度で保持するための技術に大きな進展があり、今後の研究に向けて着実に進歩している。
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