研究課題
睡眠薬ラメルテオンとGiタンパク質三量体が結合したメラトニン受容体MT1のシグナル伝達複合体の立体構造を解明することに成功し、哺乳類細胞を用いた生化学的機能解析を行うことで変異体によるシグナル伝達活性の評価を行った。これにより、受容体の活性化に重要なラメルテオンとの相互作用を特定した。さらに、他のシグナル伝達複合体との構造比較から、Gタンパク質の共役選択性を特徴づける受容体の細胞内側の空間的な特徴を見出した。研究データをまとめてNature Structural & Molecular Biology誌に投稿し、レビュー期間を経て掲載されることとなった。MT1-MT2ヘテロ二量体の精製系を構築するための検討を実施した。膜タンパク質の構造解析で一般的に使用される界面活性剤での可溶化に加え、より生体内の環境を再現できるとして広く使用されている脂質ナノディスクへの再構成や、解離しやすい多量体タンパク質について量体数を保って再構成できるポリマーの使用を検討し、安定な精製に最適な条件・組成・混合比率をスクリーニングした。
2: おおむね順調に進展している
睡眠薬ラメルテオンとGiタンパク質三量体が結合したメラトニン受容体MT1のシグナル伝達複合体については、当初の予定通り論文として掲載することができた。また、ヒツジに由来するMATEについては発現系、精製系の改良に成功した。また、MT1-MT2ヘテロ二量体の精製系を構築するための検討を実施し、安定な精製に最適な条件・組成・混合比率の手がかりを得ることにも成功している。
より安定にMT1-MT2ヘテロ二量体を精製づるために条件を最適化し、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析を目指す。
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Nature Structural & Molecular Biology
巻: 28 ページ: 694~701
10.1038/s41594-021-00634-1
Nature
巻: 599 ページ: 158~164
10.1038/s41586-021-03935-z