研究課題/領域番号 |
21J20898
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
織間 大気 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 脳波 / 画像統計量 / 深層生成モデル |
研究実績の概要 |
視覚刺激の統計的構造が人間の視覚野でどのような順序・潜時で符号化されているかということについて,自然テクスチャ画像に対する視覚誘発電位(VEP)と画像統計量との関係性の解析を完了し,また合成テクスチャの知覚的な不自然さとVEPとの関係性の分析も進めた.本研究では,様々な白黒の自然テクスチャ画像をランダム順で提示し,それらを観察しているときの被験者のVEPを計測した.また,視覚刺激に用いた画像たちの画像統計量(サブバンド標準偏差・歪度・尖度,サブバンド方位間・周波数間相関)を計算し,VEPと画像統計量との間で逆相関解析を行った.その結果,VEPは様々な画像統計量と組織的に,かつ空間周波数依存的に相関することを見出した.特にサブバンド標準偏差は,低空間周波数成分が先に,遅れて高空間周波数成分が符号化されている可能性が示唆された.さらに,そのような強い相関を背景に,VEPから画像統計量を再構成することも試みた.VEPからPortilla-Simoncelli (PS)統計量を予測する線形回帰モデルを構成し,予測されたPS統計量をもとにテクスチャを合成したところ,約50 %の視覚刺激について,本来の合成テクスチャと知覚的に類似した合成テクスチャを合成することができた.加えて,合成テクスチャの不自然さに対応する成分が,画像統計量の符号化を反映する成分よりさらに遅れてVEPに反映されている可能性も示唆した.以上の結果は複数の国際会議に採択され,国際学術誌に原著論文として公刊された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にあった視覚誘発電位(VEP)と画像特徴との関係性の解析が進み,これまで検討されてこなかったサブバンド以下の画像統計量とVEPとの組織的相関が明らかとなり,国際学術誌に原著論文として公刊した.また,深層生成モデルを用いたVEPからの刺激の再構成も部分的に成功し,以上の結果と矛盾しない知見が得られたため,堅調な進捗があった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,計画にあった知覚との関連性の解析を進めてゆくとともに,脳波・画像特徴・知覚の三者関係に踏み込んだ知見の生成を目標とする.また,視覚刺激をカラー画像に拡張し,より一般的な関係性の解析を進める.
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