研究課題
申請者は、小型RNA依存性RNAヌクレアーゼであるCas13bt3-crRNA 2者複合体構造、および、Cas13bt3-crRNA-target RNA 3者複合体構造をそれぞれX線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析という2つの異なる手法を用いて決定した。得られた構造情報から、Cas13bt3はHEPNと呼ばれるヌクレアーゼドメインが、大きく構造変化することによって標的RNAを認識していることがわかった。また、構造情報と動力学シミュレーションの結果を組み合わせることで、Cas13bt3はアクティブサイトループと命名した活性部位近傍に存在するループ構造が活性化に重要であることを明らかにした。これらの標的RNAの認識・切断機構はこれまでに報告されていたCas13aやCas13dの、HEPNドメインの活性部位自体が大きく構造変化をすることによって活性化する機構とは全く異なる機構であった。さらに、得られた構造に基づいた合理的な改変によって、野生型Cas13bt3と比較してよりRNA編集活性が向上した高活性変異体(enCas13bt3/miniCas13bt3)の開発に成功した。これらの変異体は、哺乳類細胞においても高い活性を示した。申請者はこれらの成果をまとめ、筆頭著者としてMolecular Cell誌に報告した。現在は、さらなる高活性変異体の作製に取り組むとともに、作製した変異体を用いて複数の遺伝性疾患の治療応用にむけて検証を行っている。
1: 当初の計画以上に進展している
研究がうまく進行し、すでに論文を国際誌に投稿したため。
さらなる高活性変異体の作製に取り組むとともに、作製した変異体を用いて複数の遺伝性疾患の治療応用にむけて検証を行っている。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Molecular Cell
巻: 82 ページ: 3178-3192
10.1016/j.molcel.2022.08.001