研究課題/領域番号 |
21J21118
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金城 翼 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | Donaldson-Thomas理論 / 数え上げ幾何学 / 導来シンプレクティック幾何学 / Hall代数 / モジュライ空間 / 超局所層理論 / 不変量 |
研究実績の概要 |
今年度は三次元カラビヤウ多様体のコホモロジー的Donaldson-Thomas不変量の積構造の構成に関する研究を行った。このような積構造が構成されると、Donaldson-Thomas理論における壁越え公式の圏化が可能になり、またDonaldson-Thomas理論と表現論の関係が明らかにされると期待されている。本年度はまず、このような積構造が代数曲面の標準束の全空間の場合に構成できることを証明した。この構成のためにはAdeel Khan氏と現在研究を進めている超局所層理論の導来代数幾何的な一般化を用いる。この一般化された超局所層理論では導来スタックの間の任意の射に対して特殊化関手や超局所化関手が定義できるようになり、層理論における様々な操作の精密化や導来幾何化が可能になると期待される。これらの研究は現在論文にまとめている段階である。
また、一般化Donaldson-Thomas不変量のJoyceによる構成を、良モジュライを持つような一般のスタックに対して一般化する研究を開始した。こうして得られる不変量は位相的オイラー数のスタックへの一般化と解釈されるものである。この不変量の構成は現段階では特別な場合に限られているが、分類スタックなどの様々な場合にこの不変量の構成がwell-defineになっていることを確認した。また、分類スタックの場合に明示的な公式を得ることに成功し、古典群の場合には簡潔な表示を与えた。これらの結果は現在論文にまとめている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標にしていた三次元カラビヤウ多様体のコホモロジー的Donaldson-Thomas不変量の積構造を、局所局面と呼ばれるクラスの場合に構成することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
まず、上記の導来代数幾何の超局所層理論的な一般化とそのコホモロジー的Donaldson-Thomas不変量への応用について論文にまとめる。また、一般化Donaldson-Thomas不変量のより広いクラスのスタックへの一般化についても論文をまとめる。さらに、G-Higgs束などの非線形な対象を扱えるようにコホモロジー的Donaldson-Thomas理論を拡張することを考える。
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