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2023 年度 実績報告書

ポジトロニウムのレーザー冷却の実証と量子縮退状態への到達

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0637
配分区分基金
研究機関東京大学

研究代表者

田島 陽平  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードポジトロニウム / 量子電磁力学 / 新物理探索 / ボース・アインシュタイン凝縮 / レーザー冷却 / ドップラー分光 / 陽電子 / マイクロチャンネルプレート
研究実績の概要

本研究課題の最終年度では、電子と陽電子とが束縛してできた水素様エキゾチック原子であるポジトロニウム(Ps)の分光精度を桁違いに向上させる手法を開発した。この手法を用いることで、Psがレーザー冷却により約1 Kという極低温度に至ったことを実証することができた。研究期間全体を通じて、極低温粒子反粒子系の科学の開拓に成功した。これにより、究極の精度を実現する極低温Psの分光測定による基礎物理学方程式の正当性の検証や基礎物理定数の決定、新物理の探索への道が拓けた。また、反粒子を含む量子縮退原子気体という新しい物質相の実現へ大きな一歩となった。
最終年度に取り組み、本研究において鍵となったのは、レーザー励起されたPsの高感度検出法の開発である。レーザー冷却されたPsの速度分布を測定し、温度を評価するために、ドップラー分光法を用いた。しかし、レーザーの周波数を掃引しながら量を評価する励起状態Psの検出感度が悪く、冷却を実証することができなかった。本研究では、レーザー励起されたPsを選択的に光電離し、電子と乖離した電離陽電子をマイクロチャンネルプレート(MCP)により検出する方法を開発した。電離陽電子の軌道を電磁場により制御しMCPへ入射でき、また、背景信号が原理的には存在しないため、無背景信号かつ100%近い検出効率が期待できる。本研究では原理検証から開始し、ドップラー分光法において使用する紫外レーザーが散乱してMCPへ入射し背景信号となることが分かった。MCPの増幅動作の有無を瞬時に切り替える手法を開発し、Psと紫外レーザーの相互作用が終了し電離陽電子が発生した後よりMCPを動作させることで、問題を克服した。これにより、電離陽電子が周囲の電子と対消滅し発生したガンマ線を検出する従来の方法では不可能であった、レーザー冷却されたPsの速度分布を測定することができ、冷却の実証に成功した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a laser for chirp cooling of positronium to near the recoil limit using a chirped pulse-train generator2024

    • 著者名/発表者名
      Shu Kenji、Miyamoto Naoki、Motohashi Yuto、Uozumi Ryosuke、Tajima Yohei、Yoshioka Kosuke
    • 雑誌名

      Physical Review A

      巻: 109 ページ: 043520 - 043531

    • DOI

      10.1103/PhysRevA.109.043520

    • 査読あり
  • [学会発表] ポジトロニウムの高分解能レーザー分光を実現する電離陽電子の高感度検出2023

    • 著者名/発表者名
      田島陽平, 周健治, 吉岡孝高
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会(2023年)
  • [備考] 東京大学吉岡研究室

    • URL

      http://www.fs.t.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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