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2022 年度 実績報告書

宗教シオニズム思想史 -アブラハム・クックを基軸に-

研究課題

研究課題/領域番号 21J22345
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

犬塚 悠太  東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワード宗教シオニズム / イスラエル / ユダヤ教
研究実績の概要

本年度の研究活動は前期と後期に大きく分かれる。全体として前年度から継続して第四の研究である現代の宗教シオニズムに関する研究を進めた。やや現代の比重が大きくなっているのは、現代の宗教シオニズム思想が多様化しており、本研究課題のインパクトの一つである現代のイスラエル政治やパレスチナ問題への理解という観点からより重要だと考えられるためである。加えて情勢の不安定化に伴い、一部の文書館への訪問を見送っていることも理由にあげられる。
前期は宗教シオニズム思想の多様化の原因の一つとして考えられる外国からの影響に焦点を絞り、アメリカの現代正統派でメインストリームとされるラビのもとで学んだアハロン・リヒテンシュタインについて第81回宗教学会にて「ラビ・リヒテンシュタインー宗教シオニズムとアメリカ正統派ー」という題で発表を行った。彼のリベラルな側面はかならずしも完全に受け継がれているわけではなく、影響力も大きいとは言い難いが、彼の弟子が彼の思想・実践のいくつかを継承していることから、イェシヴァという環境における影響関係を考察する重要性が明らかになった。
後期はイスラエルへの長期滞在を開始し、ヘブライ語能力の習熟に加え現地の研究者との面会を行ったほか、日本では入手困難な書籍や資料を収集した。先にも述べた通り政情の不安定化により当初予定していたアブラハム・クックの手稿の確認はできていないが、ツヴィ・イェフダ・クックやそのほかの弟子に編集されていない校訂本を入手することができたためこちらの精読に着手した。また、現在の政治的変化の中核ともなっている極右の宗教シオニストたちの思想について、とりわけメイール・カハネに端を発するカハネ主義と呼ばれる人種差別的な極端な主張を行うものたちのプレゼンスが高まっている理由を解明する為、宗教シオニズムの思想的変化と、カハネ主義の変化という文脈から考察を始めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度に予定していた資料調査を当該年度に並行して行なったことや、一部文書館での調査を見送っていることに加えて、研究計画における現代という時代の重要性がイスラエル国の政治的変化とともに増したこと、かつその研究で扱うべき論点が当初想定していたものよりも複雑かつ多様であることが明らかになり、相対的に第二、第三の研究に該当する時代に関して遅滞が生じている。

今後の研究の推進方策

社会的な影響と研究のアクチュアリティを重要視し、第四の研究に該当する現代の宗教シオニズムを本研究計画の中でも大きな位置を占めるものとしつつ、その一方で、イスラエル滞在期間で可能な限り第二・第三の研究を進捗させ、また帰国後にも滞在中に集めた資料を精読することで、研究全体の焦点を現代に当てつつ、当初の計画である宗教シオニズム思想の歴史をクリアにすることを試みる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ラビ・リヒテンシュタインー宗教シオニズムとアメリカ正統派ー2022

    • 著者名/発表者名
      犬塚悠太
    • 学会等名
      第81回日本宗教学会

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公開日: 2023-12-25  

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