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2023 年度 実績報告書

戦争違法化体制下の平時/戦時区分をめぐる政治・法・軍事-警察概念の援用を中核に

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0681
配分区分基金
研究機関東京大学

研究代表者

太田 聡一郎  東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード戦争違法化 / 再軍備 / 治安政策 / 冷戦 / 法規範 / 警察予備隊 / 事実上の戦争
研究実績の概要

2023年度は①2021~22年度における研究成果の精錬、②新たに見出した研究対象の新規分析の二方向で研究を行った。①について具体的には、前年度に査読誌へ投稿した論文の改稿作業を行った。戦後日本の再軍備と治安政策とが運用上連携と棲み分けを行っていたという軸で論文全体の趣旨を再構成するとともに、新たに地方紙などを分析して実証の密度を高めて再投稿し、掲載が決定した。②については、戦後日本の治安政策、特に岸信介内閣における警察官等職務執行法改正問題に関する一次史料を国立公文書館で見出し、分析を加えた。
以上のように締めくくった2021~23年度の研究を通じ、「警察」機関として始まった冷戦初期日本の再軍備の特質を解明することができた。すなわち、警察予備隊をめぐる制度設計や運用において政治家や官僚、幕僚は、公安委員会ら一般警察の関与規定、部隊出動の可否や使用できる武器などをめぐって「警察」という法概念が要請する判断を要請されていたことが分かったのである。これは、日本国憲法第9条との整合性を保つために為政者が持ち込んだ「警察」という建前が、思いがけない形で逆に為政者の行動を拘束したことを意味する。本研究はこの成果を、戦争禁止や軍備縮小の法規範をかい潜るために持ち込まれた建前が新たな法規範となって為政者の行動を拘束するという、戦争違法化の時代特有の法規範の働きの重層性の一端を解明したものと位置付けた。
なお今後は、統治エリートの内部で影響力を持つ法規範にかわって、統治エリート全体を外から拘束したであろう社会規範の影響力を分析する。法規範と社会規範が軍事の領域でどのような影響力を保持したか解明することで、規範が現実をいかに規定するのかという普遍的な問いに対する一つの事例的解答を与えたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 警察予備隊と戦後警察制度 政令制定・運用過程に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      太田聡一郎
    • 雑誌名

      日本歴史

      巻: 904 ページ: 57-71

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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