本研究の目的は、細胞レベルでの概日リズムの実験データをもとに、数理モデリングや数値シミュレーションを通して、細胞ごとのヘテロ性や細胞間における相互作用を定量化する手法を確立し、ヘテロ性の意義を解明することである。最終年度である令和5年度においては、前年度からの続きとして、振動子集団の集団秩序度の時系列データからその振動子の固有振動数のばらつきと結合強度を推定する手法の開発を行った。これまで同様、リミットサイクル振動子集団の数値シミュレーションの結果から、結合強度と固有振動数のばらつきの2つのモデルパラメータの推定を試みた。位相振動子モデルの代表的なモデルである蔵本モデルで得られる秩序変数でのフィッティングによって推定を試みた。結合がないときの振動子数無限大での秩序変数の時系列をフィッティングし、そのときのフィッティングパラメータと誤差からモデルパラメータを推定する手法を開発した。この手法を用いることで、蔵本モデルにおいて振動子数無限大極限において解析解の得られないような固有振動数分布を仮定しているときでも、モデルパラメータの推定ができる。この研究成果を元に論文を執筆中である。
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