本研究は、一般ユーザが正確な情報を得るためのリテラシーを支援することを目的とする。具体的には、ウェブ集合知上から特徴語抽出や感情解析を施したデータセットに対し、ナラティブ型可視化アプリケーションを開発して、ユーザーの視線を情報を正確に読み取るための意識化に導く。さらに、小中学生を対象として、実際に世の中に出回る情報について、どのように情報が流通し、認識されているかという傾向について学ぶためのワークショップを通じて、現場でのキュレーションをアプリケーションデザインに組み込む。ここでは、急速なAI技術の進展とAPIの仕様の変化に伴う、インターネット上の国際的な情報に着目し、「人間(当事者性)」の考察に再起するためのプログラムを検討した。 今年度は、前年度に実施したワークショップの結果の分析を行った。その結果、情報の当事者と共にファクトチェックを行うことで、批判的思考を育む会話の活性化および、誤情報への意識化が促進する効果が認められ、参加者のメディア情報リテラシーの向上が見られた。これらの結果をもとに手法の効果をまとめ、一般化を目指した。 本研究の取り組みは、世界中で誤情報の拡散が問題となっている現状において、特に有用性が高いと考えられる。国際的な視野で本研究の成果を共有することで、誤情報に対するグローバルな対策が進められ、社会的な諸課題に対する迅速な意思共有と解決策の提案が行われるウェブ情報活用環境が形成されることを期待する。
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