• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

トップスプリンターの大腿筋制御を担う脳-脊髄神経制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22J00058
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

欠畑 岳  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2025-03-31
キーワード相反抑制 / 脊髄反射 / tSCS(脊髄刺激法)
研究実績の概要

ヒトの筋-神経制御のひとつに、主働筋が収縮(興奮= on)すると同時に、拮抗筋へは弛緩(抑制= off)の命令が送られる相反抑制という脊髄レベルでの神経制御機構が存在する。主働筋と拮抗筋の同時収縮は、素早い関節運動を阻害してしまう。そのため、主働筋への興奮の指令と協調し、対にある拮抗筋を抑制する相反抑制は、スプリント中の素早い下肢動作を可能にする合目的的な筋-神経制御であるといえよう。したがって、トップスプリンターは、優れた大腿筋の相反抑制の特性を有している可能性がある。
本年度は、本研究のメインテーマである、「大腿筋の相反抑制の定量」を試みた。
スプリンター10名、コントロール10名を被験者として実験を行った。仰臥位を維持している被験者の下肢を支配する第2-3腰椎神経へ脊髄刺激(電気刺激)を与え、両脚の大腿直筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、ヒラメ筋における脊髄反射を誘発した。このとき、以下の2つの条件における脊髄反射振幅値について観察した。①:条件刺激なし:被験者の安静を保たせたまま、脊髄刺激による下肢筋の脊髄反射を記録した。②:条件刺激あり:脊髄刺激の直前に、大腿直筋の支配神経への電気刺激(条件刺激)によって、反射振幅値が変化するか否かを観察した。
その結果、②条件における大腿二頭筋の反射振幅値が、ある刺激間隔において低下する傾向が確認された。このことは、拮抗筋(大腿直筋)への刺激によって、大腿二頭筋への相反抑制が誘導されていた可能性を示唆する結果である。従来、相反抑制については、下腿筋(前脛骨筋ーヒラメ筋)をモデルに研究が進められ、その存在が確認されてきた。一方、大腿筋における相反抑制の定量は本研究が初の試みである。本研究の結果から、「大腿筋の相反抑制の定量」は、本研究の手法を用いることで、十分に定量が可能であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、大腿筋の相反抑制の定量に関する実験を順調に進めることができ、ベースとなる実験データを20名の被験者(スプリンター10名およびコントロール10名)より取得することができたため。また、従来の研究計画では、安静を保つ課題のみを設定していたが、実際のスポーツ現場における神経制御の特徴に迫るためにvoluntary movement課題、Tendon vibration reflex課題についても同時並行で進めることができたため。

今後の研究の推進方策

20名の被験者より得られたデータについて、現在、詳細な解析を進めている段階にある。相反抑制の程度について、異なる刺激間隔や被験者間による違いについて検討を進めている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] スプリント走における巧みな筋制御2023

    • 著者名/発表者名
      欠畑岳
    • 雑誌名

      トレーニング科学

      巻: 35 ページ: 3~9

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Interlimb and Intralimb Coordination of Rectus Femoris and Biceps Femoris Muscles at Different Running Speeds2022

    • 著者名/発表者名
      KAKEHATA GAKU、GOTO YUTA、YOKOYAMA HIKARU、ISO SHIGEO、KANOSUE KAZUYUKI
    • 雑誌名

      Medicine & Science in Sports & Exercise

      巻: 55 ページ: 945~956

    • DOI

      10.1249/MSS.0000000000003106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Timing of Thigh Muscle Activity Is a Factor Limiting Performance in the Deceleration Phase of the 100-m Dash2022

    • 著者名/発表者名
      KAKEHATA GAKU、GOTO YUTA、ISO SHIGEO、KANOSUE KAZUYUKI
    • 雑誌名

      Medicine & Science in Sports & Exercise

      巻: 54 ページ: 1002~1012

    • DOI

      10.1249/mss.0000000000002876

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Why deceleration occur in the 100-m dash? : Timing of thigh muscle activity is a factor limiting performance.2022

    • 著者名/発表者名
      KAKEHATA G. GOTO Y. ISO S. KANOSUE K. NAKAZAWA K.
    • 学会等名
      27th Annual Congress of the EUROPEAN COLLEGE OF SPORT SCIENCE
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi