研究実績の概要 |
下部マントルは地球体積の半分以上を占める最大の層であり,その化学組成・鉱物組成は地球全体の化学組成を支配する.下部マントルにおけるこれらの鉱物の量比および組成はこれまで高温高圧実験により得られる鉱物の地震波速度と地球内部の地震波速度分布観測を比較することで推定されてきたが,そのような制約のみでは下部マントルの鉱物の量比および組成の決定には不十分である.地震波速度と独立した物理量である電気伝導度は下部マントル鉱物の種類および組成に敏感であるため,地球内部の電気伝導度構造と高温高圧実験により得られる鉱物の電気伝導度の比較を行うことで,地震波の情報だけでは決まらなかった下部マントルの鉱物の量比および組成を強く制約することができる.そのため本研究では下部マントルを構成する各鉱物の鉄やアルミニウム濃度(x),および圧力(P)温度(T)を振った系統的な電気伝導度測定を行い,観測と比較することで地震波のみでは得られなかった下部マントルの鉱物量比・組成を精密に決定することを目的とする. 本年度は研究計画書の通り以下の試料について高温高圧下電気伝導度測定を行った. 1.下部マントル第一主要構成鉱物ブリッジマナイトの電気伝導度測定 鉄のみを含む試料:0 mol%, 10 mol%, 鉄とアルミを含む試料:ともに10%,の3組成について,70万気圧,3000 Kまで 2.下部マントル第二主要構成鉱物フェロペリクレースの電気伝導度測定 鉄を20%含む試料について,47万気圧,3000 Kまで
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