研究課題
本研究では局所的な気圧変動に伴い励起される地震(大気励起地震)をテーマとして扱う。研究の主目的は(1)大気励起地震の現象自体への理解を深めることと(2)異なる大気条件下(地球と火星)での特徴の違いを明らかにすることである。初年度である今年度は火星で観測された局所低気圧由来の地震データの特徴を記載したカタログ作成を最優先事項として取り組んだ。第一段階として、NASAのインサイトミッションにおける大気観測チームにより提供されているイベントリストを参照し、該当する時期の地震及び気象(気圧、風速、気温など)のデータをすべて収集した。その後、全データに対して前処理(機器特性の補正やノイズ低減処理等)を行なった。第二段階として、各イベントの地震・気象の時系列データやそれぞれの周波数特性などが一目で確認できるようなQuick look図を作成し、火星で観測され たイベントを概観した。第三段階として、気象要素(平均風速・平均風向・平均気温など)の定量化や地震と気圧データの相互相関係数や遅延時間を評価した。これらのパラメータは、移動性局所低気圧の構造や地下の弾性的な特性を強く反映していると考えられているが、過去の研究では定量的かつ統計的な解析がなされていなかったため、本研究では今後の当該分野の発展に本質的な貢献を果たす結果を得たと考える。成果は複数の国内外学会で発表した。また、学術論文の準備を鋭意進めており、次年度の初めに国際誌に投稿する予定となっている。
2: おおむね順調に進展している
初年度に主要テーマであるイベントカタログの制作が終了し,成果を複数の学会で報告・国際誌への投稿に向けた準備が完了している。課題の達成度としては6割程度を既に終えており,順調に研究が進んでいると言える。
研究環境や進捗に関して特に問題はない。次年度の途中より惑星地震学の本場であるパリ地球物理研究所での1年間の滞在を開始することに伴い,本研究のさらなる発展が見込まれる。現状,国際誌への成果報告が少なくとも2件は見込まれており,国際学会での発表も数回実施する予定である。共同研究者も海外メンバーを中心に20名以上確保することができており,今後も拡充を続けることで, 本計画が終了した後も関連課題を継続できるチーム体制を更に整備していきたい。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Proceedings of Lunar and Planetary Science Conference
巻: XXXXXIV ページ: 1345
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