一年目は、データセットの構築、研究手法の習得などを中心的に行い、いくつかの分析結果を学会、研究会などで報告した。 政党間の候補者調整が、女性の立候補に与える影響について分析し、選挙学会で発表した。2012年以降の日本の衆議院総選挙のデータを用いた。野党間で候補者を一本化したところで必ずしも女性が不利を被るわけではないことが示された。 ウェブ上で公開されている地方議会選挙のデータを収集し、衆議院選挙の小選挙区ごとに女性議員の数を集約した。それにより女性地方議員の数(比率)と衆院選における女性候補者の数の関係の分析を可能にした。2012年総選挙以降のデータによる基礎的な分析からは、両者に因果関係は認められなかった。どのような条件の下で、女性地方議員数の増加が国政における女性の立候補をもたらすのかを分析することが今後の課題である。 2021年総選挙の期間の『読売新聞』の記事を用いて、選挙期間の新聞報道にジェンダーバイアスがあるのかを分析した。女性候補者の方が、男性候補者よりもわずかに容姿や外見に言及されやすいことが明らかになった。『朝日新聞』や『日本経済新聞』などを加えて対象となるデータの範囲を広げた、より体系的な分析を今後の予定としている。 量的テキスト分析の手法について学習し、特に単語埋め込みという手法について理解を深めた。さらに、1947年から2022年までの日本の国会討論を収集かつ体系的に分析し、ジェンダーバイアスの有無やその変化を分析した。
|