研究課題/領域番号 |
22J10288
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 崇寛 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
キーワード | Sleeping Beauty / Prince / 研究評価 / 研究支援 / 論文推薦 / テクノロジー・インフォマティクス / Science of science |
研究実績の概要 |
令和4年度は、非連続な発見を表すSleeping BeautyとPrinceが、実際にどのように分野を作っているのかを明らかにするために、3つのアプローチで分析を行なった。1つ目は、科学計量学における「Sleeping Beauty」という単語の明確化である。これまで本単語は概念的に扱われており、睡眠の深さや長さなどの統一された定義がなかったため、用いる指標によって異なる特徴が見えてしまう問題があった。そこで、11の指標を用いたsleeping beautyを比較することで、引用遅れを経験する論文の特徴を明らかにした。その結果、引用が遅れる論文は確かにそれまでの研究の流れを変えるようなparadigm-makingな研究であることが示唆され、本研究で扱うSleeping Beautyの分野形成のメカニズムの一端を解明した。本研究は、科学計量学のトップジャーナルであるJournal of Informetrics誌に採択された。2つ目は、PrinceがどのようにSleeping Beautyを発見しているかの解明である。分析の結果、Princeは直接の引用よりも、むしろ領域全体に注目を集めさせ間接的にSleeping Beautyに注目させていることが明らかになりつつある。本研究は、科学計量学のトップ会議であるISSIの年次総会に採択されている。最後に、Sleeping beautyが起きた後のプロセスを、Princeによる発見の10年後に新しい分野がどのように生まれているかどうかから分析した。その結果、Sleeping BeautyとPrinceのペアから生み出される分野は、これまでの研究から連続的に繋がっているものではなく、平均20%程の低い継承率で新しい分野を作っていることが分かった。本研究は、アメリカ情報科学技術学会の科学計量学研究会のワークショップで口頭発表された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PrinceやStorytellerの抽出に向けてSleeping Beautyの網羅的な取得が必要であったが、先行研究におけるSleeping Beautyの定義の違いによって結果が変化しうることが実験により明らかになったため、昨年度はその報告を行ってから、Princeらによる分野形成の議論に入り始めている。現在初期的な結果が出ているため、本年度はその本格的な実装に取り組む。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度の当初の計画では、前年度得られた間接的に注目を集めさせるPrinceについて、実験を加えて論文しに投稿することを目指している。加えて、研究者の注目度を測る指標として、引用には現れないダウンロードを取るデータをLeiden大学との共同研究によって新たに獲得したため、引用の分析にとどまらず、研究者が論文をダウンロードしてから引用するまでに分析の範囲を広げ、非連続な発見がどのように研究者に認知されてきたかを明らかにする予定である。
|