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2022 年度 実績報告書

喉頭がんの切除等により失われた声を取り戻すウェアラブルデバイスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22J11210
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

竹内 雅樹  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワード電気式人工喉頭 / ニューラルネットワーク / 機械学習 / 振動子 / 振動音
研究実績の概要

まずハンズフリー型のELを開発する上での一番の問題になっている振動音の漏れの原因がどこにあるかを探った。すると現在使用している振動子、ならびに現在の振動音の作製方法に問題があることが分かった。そこで複数の振動子ならびにファンクションジェネレータを購入して、電圧ならびに周波数を変化させて実際に購入した振動子に正弦波を加振して、首に当てて、実際にどのように聞こえるかを音声と映像を記録して比較実験を行った。その結果、100Hzから1000Hz全てにおいて満遍なく明瞭な声となりかつ振動音漏れの少ない振動子は無かった。そのため、研究実施計画を変更し、振動音の作成方法をLPC残差波を用いた方法でなく、ニューラルネットワークモデルを用いて機械学習を行い作成する、という方針に変更した。この理由は先述した比較実験において、音量、重さ、必要となる電力のすべての条件で従来の電気式人工喉頭に使用されている振動子の性能を超えられる振動子が見つからなかったためである。振動音を良くすることで振動子については一般化できる、すなわちどの振動子を用いてもより明瞭な声で届けられることを目的としている。現時点で振動音を作成するためのニューラルネットワークモデルは様々な改良をしており、次年度中にこのモデルを用いて作成した新たな振動音を用いて、開発したデバイスの客観的評価を行う予定でいる。ユーザーテストまでこぎつけて、主観的評価までできれば論文や国際会議での発表も可能になると考えている。また、自動で振動音のON/OFF制御を可能にするということについては、自動ではないが、曲げセンサを用いて首を曲げるだけでハンズフリーで振動音のON/OFFを制御できる機構を今年度中に作成することができた。そして今年度は2本国内誌で(そのうち1本は英訳され英語論文誌で)論文が掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究目的(4)のハードウェアの改良としては首を曲げるだけで振動音のスイッチがONになるような機構の物を作成し、目指していた完全なハンズフリーで発声ができるという1つの目標は達成できた。しかしながら、2年間の研究計画で完成まで考えていた研究目的(1)、(2)、(3)に関しては、先述したように複数の振動子を用いたシステムから振動音の作成方法の改良に、令和4度中に研究の方針転換を行った。しかしまだ振動音が完成しておらず、令和4年度中の終了を考えていた従来のELとの実計測データによるSN比を用いた客観的な比較実験ができていないことから、少し遅れていると判断をしている。

今後の研究の推進方策

今後の研究課題の推進方策はニューラルネットワークモデルを用いた電気式人工喉頭での振動音の作成手法の確立という方針に変更をする。この研究計画の変更に関しての問題点は、振動音の作成後に令和4年度中の実行を考えていたSN比を用いた客観的な比較実験と、令和5年度中の実行を考えていた実際に声を失った喉頭摘出者に、開発したデバイスを装着して話してもらい、評定尺度法を用いた評価および装着感のインタビューという主観的な比較実験の両方を進めなければならないということである。しかしこれに関しては、従来行うはずだった研究目的(1)(2)(3)を実現する機構の作成に用いるはずであった費用を、主観的実験と客観的実験を両方並行に進めるための実験協力者への謝金として使用することにより、研究目的の遂行が可能になると考えている。

備考

所属研究機関が作成した研究成果に関してCNNに取り上げられたことに対してのWebページです。上記に文字数の制限で弾かれてしまったので、以下のリンクに掲載します。
https://www.eeis.t.u-tokyo.ac.jp/news/竹内雅樹さん-東京大学-大学院工学系研究科-電気系工学専攻-関野研究室-博士後期課程1年-らの研究がcnnで取り上げられました/

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] Development of a Hands-free Electrolarynx for Obtaining a Human-like Voice using the LPC Residual Wave2022

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Masaki、Soejima Yutaro、Ahn Jaesol、Lee Kunhak、Takaki Ken、Ifukube Tohru、Yabu Ken-ichiro、Takamichi Shinnosuke、Sekino Masaki
    • 雑誌名

      IEEJ Transactions on Fundamentals and Materials

      巻: 142 ページ: 390~396

    • DOI

      10.1541/ieejfms.142.390

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of a hands‐free electrolarynx for obtaining a human‐like voice using the LPC residual wave2022

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Masaki、Soejima Yutaro、Ahn Jaesol、Lee Kunhak、Takaki Ken、Ifukube Tohru、Yabu Ken‐Ichiro、Takamichi Shinnosuke、Sekino Masaki
    • 雑誌名

      Electrical Engineering in Japan

      巻: 215 ページ: 1~8

    • DOI

      10.1002/eej.23409

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Review of the Speech-aid Device2022

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Masaki、Ueha Rumi
    • 雑誌名

      Koutou (THE LARYNX JAPAN)

      巻: 34 ページ: 58~64

    • DOI

      10.5426/larynx.34.58

    • 査読あり
  • [備考] 竹内雅樹さんらの研究がCNNで取り上げられました。

  • [備考] Restoring Lost Voices

    • URL

      https://ssir.org/articles/entry/restoring_lost_voices

  • [備考] 失われた声を取り戻す次世代のハンズフリー型EL「Syrinx(サイリンクス)」

    • URL

      https://innouvators.com/ja/article/11363/

  • [備考] 機械はどこまで人の声に近づけるのか?【Syrinx(サイリンクス)開発者、竹内雅樹氏】

    • URL

      https://zeroichi.media/with/9009

  • [備考] 声のイノベーション──「ありがとう」がつくるこれからの社会

    • URL

      https://withnews.jp/article/k0230228001qq000000000000000S00110101qq000025544A

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公開日: 2023-12-25  

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