昨年、研究実施計画を変更し、振動子を複数配置する・フィードバックをかけて抑揚制御を行うことにすることから、振動音の作成方法をLPC残差波を用いた方法でなく、ニューラルネットワークモデルを用いて機械学習を行い作成する、という方針に変更してから1年間ニューラルネットワークモデルの設計に尽力した。独自の録音システムを作成しそこで機械学習用の入力および教師データを収集したことで、声を失った方の録音データが従来だと2時間弱時間かかるところを5秒間の日本語母音「あ」の発声だけでその人の声に近づくように設計をした。また声を失った方でも簡単に使用できるようにシンプルなニューラルネットワークのモデルの構築を心掛けて、中間層を1つ入れただけの非線形モデルにより、従来の振動音よりも高周波数帯において人間の自然発話に近くなるという結果を得ることができた。この結果を持って、生体医工学会大会に採択され、IEEE EMBCにはOne page paperを提出した。また曲げセンサを用いて首を曲げるだけでハンズフリーで振動音のON/OFFを制御できる機構は昨年度中に作成していたが、そこから改良を加えて、乾電池をリチウムイオンポリマー電池から単4にして安全性の向上に努めたり、振動子を1つにすることで高音域のノイズを減らしたりした。まだ実用化に向けてのハードルは数多く存在するので、科研費の期間が終了後も引き続き改良を重ねて、声を失った方に届けられるようにしたいと考えている。
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