• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

鼻腔構造にもとづく恐竜類における内温性獲得過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0808
配分区分基金
研究機関東京大学

研究代表者

多田 誠之郎  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード双弓類 / 恐竜類 / ワニ類 / カメ類 / 鼻腔 / 熱生理学 / 代謝
研究実績の概要

恐竜類を中心とした双弓類が持つ多様な鼻腔形態の機能と進化過程を明らかにするため、本研究は各分類群の化石種および現生種の標本を用いて観察を行った。恐竜類から鳥類への進化に関しては、まず現生有羊膜類において内温性動物が外温性動物よりも頭部に対して大きな鼻腔を有することから、脳サイズに応じた血液の温度を調整する生理学的機能が鼻腔にあることを明らかにした。さらに、獣脚類の標本観察を行って頭骨の内部構造の変化を追跡し、獣脚類から鳥類に至る過程で起きた頭骨変化の過程において、祖先的な状態から鳥類様の鼻腔が獲得され、その生理学的機能が発達した時期についても考察を行った。
これらの知見を踏まえ、本研究ではさらに恐竜類以外の双弓類についても鼻腔やその生理学的機能について研究を行った。ワニ類では、特徴的な鼻腔および吻部形態が獲得された発生学的要因について調査を行った。現生ワニ類の個体発生と、偽鰐類からワニ類に至るまでの吻部の形態変化パターンを比べると、それらの間に定量的および解剖学的並行性が見られることが明らかになったため、その進化が異時性的進化パターンとして説明できる可能性が示唆された。また、そのような進化パターンが成立した時期についても考察を行い、生態との関連についても議論を行った。
カメ類では、他の双弓類と比べて吻部の解剖学的知見が不足していたため、重要な吻部器官の一例として血管系に着目した。血管系への含ラテックスインジェクションを行って頭部血管系を記載し、他の現生双弓類との比較を行ったところ、カメ類は他の双弓類と同様に鼻腔で血液の温度調整を行っていることが初めて解剖学的に示唆されたが、一方でその血管系は固有の配置パターンを有することが明らかになった。さらに化石カメ類を調査したところ、そのパターンが成立した時期は、完全な甲羅を獲得した時期に近いことが示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Ohio University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Ohio University
  • [学会発表] 岩手県久慈層群産ウミガメ類と本邦白亜紀カメ類の分類学的再検討2024

    • 著者名/発表者名
      平山廉、多田誠之郎
    • 学会等名
      日本古生物学会 第173回例会
  • [学会発表] Reconstructing the cranial vasculature in plesiosaurs and mosasaurs2023

    • 著者名/発表者名
      Donald J. Morgan、Seishiro Tada、Lawrence M. Witmer
    • 学会等名
      Ohio University Student Expo
  • [学会発表] Cranial and endocranial morphology of cf. Mesodermochelys and provisional systematic revision of the genus2023

    • 著者名/発表者名
      Seishiro Tada、Ren Hirayama、Takanobu Tsuihiji
    • 学会等名
      2nd Asian Palaeontological Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] Morphogenetic mechanisms underlying the cranial evolution of pseudosuchians: comparisons of evolutionary and developmental changes in skull shape2023

    • 著者名/発表者名
      Seishiro Tada、Takanobu Tsuihiji、Lawrence M. Witmer
    • 学会等名
      Society of Vertebrate Paleontology 2023 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [備考] 【学生の声2023】国内・海外で行う古生物研究活動

    • URL

      https://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/focus20230518/

  • [備考] 大きな鼻が,クールな脳を保つ秘訣

    • URL

      https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/page/8566/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi