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2022 年度 実績報告書

前辺縁皮質の活動動態に着目した生体脳深部光活動計測・操作による恐怖消去機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22J11656
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

近藤 勇人  東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワードCognition / Emotion / mPFC / Prelimbic cortex / Two-photon imaging / Neural coding
研究実績の概要

令和4年度に実施した研究成果のうち、特に重要なものとして下記の3点を報告する。
第一に、本研究の注目領域であるPrelimbic cortex (PrL) の神経活動を生体脳において高速かつ single cell resolutionで計測する光学イメージング系を確立した。PrLは脳表から約2 mmの深部に位置するため従来の観察手法では励起光を届けるのが困難であったが、屈折率分布型レンズ (GRIN lens) を挿入することによりこれを克服した。上記の外科手技プロトコルの応用により、今後、適切な長さのGRIN lensを用いれば実質的にどの深部領域であっても生体脳からの神経活動計測が可能であり、神経回路の探索実験・機能解析実験に大いに役立つ考えられる。
第二に、頭部固定下での音恐怖条件付けを成功させる音圧、電圧等の条件検討を実施し、連合記憶形成のプロトコルを確立した。さらに、マウスの恐怖記憶想起の指標として頭部固定状態における瞳孔径および、自由行動化におけるすくみ応答の計測・解析系を構築した。これらは赤外線カメラで取得した画像データ解析の為のcustom script(ImageJおよびMATLABを使用)によって実現しており、迅速な解析パイプラインを実現した。
第三に、この神経活動計測系を用いて恐怖記憶の形成前から想起までのPrLの同一神経細胞群の神経活動計測・解析実験を実施した。その結果、音刺激に対するPrLの応答は記憶の形成前から連合記憶想起にわたってダイナミックに変動することを見出した。さらに、音刺激と電気ショックの両方をこれらの神経細胞群が符号化していることを示唆する結果が得られた。今後、PrLの神経活動が記憶のプロセスのどのタイムポイントで重要な役割を担っているのかについて、光遺伝学および化学遺伝学的な介入実験を用いて解明していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は当初の計画通り、mPFC の in-vivo calcium imaging の系を確立することができた。また神経活動データと動物の行動データを解析するための基礎パイプラインを構築し、mPFCの神経活動が外部刺激を動的に符号化することを示唆する結果が得られた。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に従って、弁別学習の系を立ち上げ、mPFCが担う認知機能を主に光遺伝学を用いた神経活動抑制実験を通じて明らかにする。また、弁別学習中における単一細胞解像度の in-vivo imaging を実施し、mPFCにおける外部刺激の符号化法則を究明していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Neuronal reactivation in the prelimbic cortex during fear memory extinction2022

    • 著者名/発表者名
      Hayato Kondo, Ryang Kim, Ranmaru Shimoda, Rie Yamashita, Shigetaka Kobari, Yusuke Tomiyama, Jungmin Kim, Takumitsu Shakuno, Leonie S. Brebner, Haobo Song, Tatsushi Yokoyama, Kasumi Inokuchi, Yayoi Kondo, Michiko Okamura, Masayuki Sakamoto, Hiroyuki Okuno, Keisuke Ota, Hajime Fujii & Haruhiko Bito
    • 学会等名
      第45回 日本神経科学大会(NEURO2022)沖縄 一般講演 2022/7/3
    • 国際学会
  • [学会発表] Neuronal activity dynamics in the prelimbic cortex underlying fear memory processing2022

    • 著者名/発表者名
      Hayato Kondo, Ryang Kim, Ranmaru Shimoda, Rie Yamashita, Jungmin Kim, Takumitsu Shakuno, Leonie S. Brebner, Haobo Song, Kasumi Inokuchi, Yayoi Kondo, Michiko Okamura, Hiroyuki Okuno, Keisuke Ota, Hajime Fujii & Haruhiko Bito
    • 学会等名
      Neuroscience 2022 (Society for Neuroscience) San Diego ポスター 2022/11/14
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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