研究課題/領域番号 |
22J12210
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
LEE MUHOON 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 哺乳類ミトコンドリア / 翻訳機構 / 翻訳開始因子IF3mt / 校正機構 / 開始tRNA |
研究実績の概要 |
昨年度(2022年)では、研究者の研究室で確立した再構成型生体外哺乳類ミトコンドリア翻訳系を用いて、開始コドン選別機構、哺乳類ミトコンドリア開始tRNA特異なアンチコドンWobble位のf5C修飾とAUA、AUA開始コドン使用の関係、また開始tRNA特異なアンチコドンステム上の3GCペアと開始tRNA選別の関連性を確認した。 開始コドンと開始tRNAの解析は、in vitroで転写した未修飾のミトコンドリアMet tRNAを用いて解析を行い、翻訳開始因子IF3mtが開始コドン選別に関わっていることを証明した。さらに、開始tRNA選別機構に関して哺乳類ミトコンドリアでもバクテリアの開始tRNA選別機構のように開始tRNAアンチコドンステム上の3GCペアのを認識し、さらに2番目のGCペアが開始tRNAとしてのアイデンティティに重要であることが確認できた。一方、バクテリアとは異なって、哺乳類ミトコンドリアでは2番目のGCペア全体が重要で、GCをCGに変えても開始tRNAとして働くことができる特徴があることが確認できた。 続いて、Native mt Met tRNAと未修飾のmt Met tRNAを用いて哺乳類ミトコンドリアMet tRNA特異なアンチコドンWobble位修飾がNon-AUG開始コドン(AUA)使用でも重要であることが確認できた。一方、IF3mtの哺乳類ミトコンドリア特異な末端延長領域がないと、開始tRNAの修飾があってもAUA開始コドンの使用が阻害されることが確認でき、AUA開始コドンの使用には開始tRNA Wobble位修飾だけではなくIF3mtの末端延長領域も同時に存在する必要があることが確認できた。現在、これまでの結果をまとめて学術論文として投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度目標としていた哺乳類ミトコンドリア翻訳開始因子IF3mtにおける開始コドン、開始tRNAの選別機構に関して解析を完了した。さらに、哺乳類ミトコンドリア開始tRNA特異なWobble位修飾におけるNon-AUG開始コドン使用とIF3mtにおける校正機構との相関性の解析も完了し、これまでの結果をまとめて学術論文として投稿した。以上の理由で概ね計画通りに研究が行われたと考えている。 また、現在共同研究先で翻訳開始複合体の解析も進めているため本年度の計画もおおむね順調に進展があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
哺乳類ミトコンドリア翻訳開始因子IF3mtにおける開始tRNA,開始コドン選別機構および開始tRNA特異なwobble位修飾とNon-AUG開始コドン使用の相関性を解析し、学術論文として投稿した。現在、投稿した論文の追加実験を行っているところであり、並行して翻訳開始複合体の構造解析も行う予定である。構造解析が完了したら、こちらの結果もまとめて学術論文として投稿する予定である。
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