研究課題/領域番号 |
22J13208
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小澤 歩 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 振動子 / 同期現象 / ネットワーク / 数値計算 |
研究実績の概要 |
複数の振動子が相互作用により振動のタイミングを揃える同期現象は、細胞内の分子から電力網に至るまで様々な系で観察される。これらの系ではしばしば同期状態の消失が系の機能不全をもたらす。また、多数の振動子を同期させれば単一振動子では成し得ないような大きな出力を得られる。このように同期現象は系の機能と密接に関わるが、振動子集団の望ましい振る舞いを実現させる相互作用の設計方法は明らかでない。 本研究では、同期促進と出力という観点から、高機能な振動子ネットワークの設計方法を明らかにすることを目指している。振動子ネットワークがロバストに同期するためには、同期状態に対応する解に収束する初期値の集合、つまり同期解のベイスンが大きいことが重要である。しかし、特にシステムの次元が大きい場合、ベイスンの評価には大量の数値計算が必要となる。 そこで、元のシステムを位相縮約して得られる低次元なシステムにおける同期解のベイスンを用いて、元のシステムの大域安定性を効率よく近似できないかという点について検討した。まず、簡単な構造をもつ振動子ネットワークの例として、全結合するスチュアート・ランダウ振動子、およびそれを位相縮約して得られる位相モデルの安定解を比較した。すると、位相モデルにおいて安定な解が一種類のみであるパラメタ領域では、位相モデルとスチュアート・ランダウ振動子との間で解の振る舞いが定性的に一致したものの、複数の安定な解が存在するパラメタ領域では、安定な解の種類が異なっていた。これは位相モデルを用いて近似的に評価したベイスンの正確さに関して示唆を与える結果である。 以上について、RIMS共同研究集会および国際会議 Dynamics Days Europe 2022にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
位相縮約前後の振動子ネットワークにおける解の安定性について、国際会議や国内の研究会で発表したため。
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今後の研究の推進方策 |
位相縮約を用いてベイスンを近似的に評価する数値的手法の開発に加えて、その手法の適用範囲を判定する方法についても検討する。
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