研究課題/領域番号 |
22J13711
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
草深 あやね 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 接触感覚 / 運動調整 / 誤差把握 / 投球 |
研究実績の概要 |
本研究課題は接触感覚が繊細な運動調整に対してどのように寄与するかを明らかにするため、誤差の把握への寄与という観点から検証を行うものである。 本年度は接触感覚と運動調整の関係を調べるため、指の運動によって画面上の物体を操作する実験課題を作成し、2種類の指サックにより接触感覚を通常通り得られる場合と低下させられた場合について、実験課題の正確性、及び運動調整の度合いを評価した。運動調整の度合いは、指の運動ととボールの運動の関係を時折変更する摂動試行を時折用意し、摂動試行後と通常試行後の運動を比較することで評価した。その結果、接触感覚が低下させられた場合においても、実験課題の正確性、及び運動調整の度合いに有意な変化は見られなかった。この結果は、本実験課題において接触感覚が運動に大きく寄与しないことを示している。 一方で、来年度実施予定である全身運動(投球)課題における検討を行うための準備として、マーカーを貼付せずに投球中の手指やボールの動きをハイスピードカメラで記録し、深層学習を利用した自動画像認識技術を用いてその位置座標を取得する実験プロトコルの構築を行った。今後はこの実験プロトコルを用いて、全身運動課題における接触感覚の呈示効果を検討することで、より広い運動課題における接触感覚の寄与を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は接触感覚と運動調整の関係を調べるため、指の運動によって画面上の物体を操作する実験課題を作成し、2種類の指サックにより接触感覚を通常通り得られる場合と低下させられた場合について、実験課題の正確性、及び運動調整の度合いを評価した。当初は接触感覚が低下させられた場合に、運動調整の度合いが変化することで、実験課題の正確性が低下することが予想された。しかしながら、接触感覚が低下させられた場合においても、実験課題の正確性、及び運動調整の度合いに有意な変化は見られなかった。この結果は、本実験課題において接触感覚が運動に大きく寄与しないことを示しているが、他の課題にも適用できるものであるのか、実験課題やその結果の妥当性を検討する必要が新たに生じた。 一方で、来年度実施予定である全身運動(投球)課題における検討を行うための準備は、当初の計画以上に進展した。マーカーを貼付せずに投球中の手指やボールの動きをハイスピードカメラで記録し、深層学習を利用した自動画像認識技術を用いてその位置座標を取得する実験プロトコルの構築を完成させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
接触感覚が低下させられた場合において、実験課題の正確性、及び運動調整の度合いに有意な変化は見られないという結果について、本実験課題に特有なものであるのか、他の課題にも適用できるものであるのか、より詳細な検討を進める予定である。具体的には、指の運動によって画面上の物体を操作する実験課題について、物体の操作方法や画面上での物体の運動、さらには指の運動ととボールの運動の関係を時折変更する摂動試行のプロトコルなどを変更し、同様の結果が得られるのか確認する。また、本年度構築したマーカーを貼付せずに投球中の手指やボールの動きをハイスピードカメラで記録し、深層学習を利用した自動画像認識技術を用いてその位置座標を取得する実験プロトコルを用いて、全身運動課題における接触感覚の呈示効果の検討を行う予定である。
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