研究課題である「深層動画圧縮のための映像品質評価」に向けた基礎的な課題として,昨年度は主に2つの課題に取り組んだ.(1) 深層画像圧縮の汎用化に取り組んだ.深層画像圧縮では主に自然画像が対象として研究されてきており,従来型の圧縮手法を上回る性能を示している.しかしながら,深層画像圧縮は学習型であるため,ドメイン外の画像を圧縮する際には性能が低下する.この問題を調査するために,汎用な深層画像圧縮という新たなタスクを提案した.汎用な深層画像圧縮では,任意のドメインの画像を圧縮することを目的とする.さらにこのタスクに取り組むための手法も提案した.(2) 深層画質評価における従来手法の画像のスケーリングに対する安定性の評価に取り組んだ.多くの従来型画質評価では,前処理としてある画像サイズにスケールすることがしばしばある一方で,深層画質評価ではスケーリングを行わないこともしばしばある.本研究では,深層画質評価の推論時における前処理のスケーリングの影響を実験的に検証した.検証では推論時における画像のスケールを変数として扱い,様々な画像スケールで前処理した画像を画質評価手法に適用した.前者についてはComputer Visionの分野で最難関レベルの査読付き国際会議であるIEEE/CVF Winter Conference on Applications of Computer Vision (WACV) で発表を行い,後者は査読付き国際学術誌であるIEICE Transactions on Information and Systemsで発表を行った.
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