橋梁の点検・診断の効率化および高精度化のため,機械学習技術の一種であるDeep Learningを活用した橋梁撮影画像の解析技術の研究に期待が集まっている.初年度は,当初目標としていた橋梁全体系での損傷の位置情報の把握,損傷情報の3次元モデル上での統合,診断用フレームワークの構築の取り組みを進める計画を立て,全て順調に研究開発を進めることができた.この成果はComputer-Aided Civil and Infrastructure Engineeringに投稿し,すでに公開されている.一方で,前年度の研究結果をもとに,橋梁の診断を自動化するためには損傷と部材の3次元的な位置関係を把握することが重要であることが再確認されたことを受けて,最終年度では, Deep LearningによるSemantic Segmentation(画素単位での情報抽出)を活用して,画像から床版や主桁をはじめとした橋梁の各部材種別を判定し,判定した部材種別を3次元モデル上で統合して記録するアルゴリズムの構築を行った.この成果はEASEC-18に投稿しており,現在発表を予定している. また,期間全体を通して取り組んだ診断用フレームワークの構築については,画像とその画像に関する質問を入力として,正しい答えを導き出すタスクであるVisual Question Answering(VQA)およびStructure from Motion(SfM)を活用したフレームワークを構築した.この結果についても,すでに論文がStructure and Infrastructure Engineeringに採択されており,まもなく公開される予定である.
|