研究課題/領域番号 |
22J15067
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 玲奈 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | マイクログリア / 発達期 / 多様性 |
研究実績の概要 |
本研究では、健常な発達期マウス脳内における局所的な赤血球漏出に関し、①脳内免疫細胞であるマイクログリアが赤血球を貪食し除去することが正常な脳発達に必要であるか、②発達期に赤血球を貪食したマイクログリアはその後の赤血球応答性が異なるか、の2点の検証を目的とした。 ①赤血球貪食時にマイクログリアでヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)が高発現していたこと、および細胞毒性を有するヘムの分解という機能より、HO-1の欠損が赤血球除去に異常をきたすと仮説を立てマイクログリア特異的にHO-1を欠損した遺伝子改変マウスを作成した。生後0-14日齢における組織学的検討の結果、赤血球貪食量の低下および細胞死マーカーであるcleaved caspase-3の増加を認めた。 ②の検証においては、特定の時期におけるマイクログリアの赤血球貪食の操作、すなわちHO-1の時期・細胞種特異的な欠損を行う必要があった。そこでCX3CR1-CreERT2マウスを用いて検証したが、遺伝子組み替えを誘導する試薬を妊娠マウスに投与したところ死産が頻発し評価対象となる仔マウスを得ることができなかったため検証を中止した。代わって、赤血球貪食経験マイクログリアの持つ特徴を、赤血球応答に限らずRNA-seqにより網羅的に探索することを目指した。そのためには、赤血球貪食マイクログリアを特異的に標識する必要があった。そこでHO-1発現の限局性に着目し、HO-1発現に伴いマイクログリア特異的に赤色蛍光DsRedが発現する遺伝子改変マウスを作成したところ、生後0日齢では赤血球貪食中のマイクログリアがDsRedで標識されていた。シングルセルRNA-seqの結果、DsRed陽性マイクログリアでは恒常性マイクログリアで高発現するいくつかの遺伝子が低発現していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、健常な発達期マウス脳内における局所的な赤血球漏出に関し、①脳内免疫細胞であるマイクログリアが赤血球を貪食し除去することが正常な脳発達に必要であるか、②発達期に赤血球を貪食したマイクログリアはその後の赤血球応答性が異なるか、の2点の検証を目的とした。 ①については滞りなく実験を進め、HO-1 KOにより死細胞マーカーの増加を認め、予想していた結果が得られたと言える。 ②の検証においては、遺伝子改変に必要な薬物処置が妊娠・出産の過程に影響し、当初予定していた実験は行えなかった。代わって、シングルセルRNA-seqによる網羅的な性質探索を行い、予期せぬ結果を得ることができた。当初着目予定であった赤血球応答性とは異なるフェノタイプ変化であるが、マイクログリアにとって重要な機能変化につながる可能性のある遺伝子の発現変動を発見したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はDsRedによる赤血球貪食の標識の妥当性、およびDsRed陽性マイクログリアの機能に関してさらなる検証が必要と考えている。
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