研究課題
本研究では、それぞれ糖質と脂質の利用能力を高めることが知られている高糖質食および高脂質食を1日ごとに交互に摂取する食事法(HYBRID法)によって、糖質と脂質を状況に応じて適切に使い分ける能力(Metabolic flexibility:代謝の柔軟性)を高めることができるのか、実験動物を対象として検証することを目的とした。昨年度は、ラットにHYBRID法を実施することで、HYBRID法と摂取する栄養素の総量が等しくなるように作製した食事(高糖質食と高脂質食の中間の組成の食事)を毎日摂取させた場合(CON群)と比較して、絶食時から高糖質食の摂食時に移行した際における糖質酸化量の増加が促進されることが明らかとなった。今年度は、HYBRID法が外因的に摂取したエネルギー基質の利用に及ぼす影響を栄養素別(糖質 vs. 脂質)に評価した。その結果、経口糖負荷試験時における血中グルコース濃度の曲線下面積(AUC)においては食事間で有意な差は認められなかったものの、経口脂質負荷試験時における血中トリグリセリド濃度のAUCはCON群と比較してHYBRID群で有意に低い値を示した。すなわち、HYBRID法によって脂質の利用能力が向上する可能性が示唆された。以上の結果から、栄養素の摂取総量が同等であっても、糖質と脂質の摂取割合を1日ごとに大きく変化させることにより、代謝の柔軟性を高めることができるという可能性が示された。
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Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism
巻: - ページ: -
10.1139/apnm-2023-0265
Nutrition
巻: 114 ページ: 112113~112113
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