研究課題/領域番号 |
22KJ1004
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中里 一星 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 葉緑体ゲノム / ランダム変異導入 / ゲノム編集 / 除草剤耐性 |
研究実績の概要 |
葉緑体ゲノムの特定の領域においてランダムに変異 [C:G対 (シトシンとグアニンのペア) からT:A対 (チミンとアデニンのペア) への塩基置換) を導入することを試み、「標的配列周辺において複数のアリルパターンを有する変異体集団の創出」に成功した。今後は、当初の目標である「標的配列周辺において多様なアリルパターンを有する変異体集団の創出」に取り組む。
葉緑体ゲノムは多くの植物種で母性遺伝し、そのような種では葉緑体ゲノムに除草剤耐性変異を有する個体を一代雑種育種の種子親として用いることで、除草剤耐性雑種種子を効率的に作出できると期待される。しかし、葉緑体ゲノムは改変困難であるため、これは実現されてこなかった。そこで、私たちは葉緑体ゲノム標的一塩基置換酵素ptpTALECDやptpTALECD_v2を用いて、シロイヌナズナ葉緑体ゲノムにコードされるD1タンパク質に特定のアミノ酸変異を導入した。この変異は、光合成細菌や藻類等を用いた先行研究で単離された変異で、市販の除草剤への耐性を付与することが知られている。本研究で作出したシロイヌナズナ変異体は、作物栽培時に推奨されている用量の除草剤を噴霧した後でも生存し (野生型個体は枯死した)、また除草剤非存在下での生育は野生型個体と同等だった (Nakazato et al., under revision)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
葉緑体ゲノムの標的配列周辺において複数のアリルパターンを有する変異体集団の創出、ならびに葉緑体ゲノム改変による除草剤耐性個体の作出に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
葉緑体ゲノムに変異導入するための酵素を改変することで、標的配列周辺において多様なアリルパターンを有する変異体集団を創出できるかどうかを検証する。また、作出した変異体の葉緑体ゲノムに追加の変異を導入することで、この変異体よりも除草剤耐性が強く、かつ生育が良い変異体を作出できるかどうかを検証する。
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備考 |
28-33ページが担当箇所。
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