研究課題/領域番号 |
22J21006
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑原 聡一朗 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 前景放射除去 / 異方的背景重力波 / 球面調和解析 |
研究実績の概要 |
中性子連星及びブラックホール連星由来の前景放射除去について最新の研究を確認しなおした。その上で、それら先行研究との区別化のために更に異方性を利用した前景放射除去を加えることを予定している。現行の重力波検出器が各異方性モードに対してどれくらいの感度をもって測定できるかを判定するため、各検出器の球面調和モードに対するOverlap reduction functionを計算するコードを作成し、Fisher情報行列をその定義から計算し直した。前述のOverlap reduction functionを利用してこのFisher情報行列を計算するコード作成を行なった。 また、LIGO Virgo Kagra合同の3月の学会に参加し、前景放射除去を研究しているミネソタ大のグループと議論を交わした。 LIGO Virgo Kagraによって行われるObservation 4における球面調和解析グループに所属が決まり、次年度より始める解析にも参加する予定である。背景重力波の特定の異方性をターゲットサーチするパイプラインの計算速度向上に向けて、GPUを計算に利用できるJAXの導入による計算のスリム化を試みており、既存のパイプラインの修正開発にも従事している。この計算のスリム化が実現することで、事前パラメーターの変数の数を増やすことができるため、前景放射除去の実際の運用において、計算時間の幅が広がり、測定する異方性の設定により自由が効きやすくなることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
類似研究との差別化を図るため、当初予定していた中性子連星の生成する背景重力波のシュミレーション作成を始める前に、この背景重力波の生み出す異方性に対する現行検出器の感度を見積もるためのフィッシャー情報行列の計算及びOverlap reduction functionの計算コードの作成の方に今年度は注力したため。
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今後の研究の推進方策 |
背景重力波の異方性を利用した前景除去と一般的な中性子連星の各シグナルを除去する方法の二つを組み合わせた前景放射除去のシュミレーションを開始する。 今年度より予定通り04観測がLIGOによって開始される。中性子連星の生成する背景重力波の異方性については、検出されている一つ一つのシグナルの全天における位置を使って研究している部門があるため、最新の情報に注意を払い、除去したい異方性モードの見当をつけることを予定している。
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