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2022 年度 実績報告書

海洋保護区設置にむけた宝石サンゴ類の重要海域および再生産機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22J22217
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

高田 健司  東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2025-03-31
キーワード宝石サンゴ / 八放サンゴ / 環境DNA / デジタPCR / メタゲノム解析 / 分布推定 / 生息環境推定 / 海洋保護区
研究実績の概要

初年度は、宝石サンゴの生息域・生物量・生息環境を推定するために、宝石サンゴの飼育水槽から環境DNAを検出する実験と新たな海域での野外海水・環境データ(化学・物理データ)収集、生物データを取得するためのメタゲノム解析の設備準備や知識習得を行った。まずは、飼育実験下で採水した海水から宝石サンゴ由来の環境DNAを検出できるか検証するため、設計した宝石サンゴ特異的なプライマーとプローブを用いたデジタルPCRによる絶対定量を行った。その結果、宝石サンゴ由来の環境DNAを検出できただけでなく、サンゴの群体数が増えれば、環境DNAの量も比例して増えることを確認した。また、昨年度に引き続き、日本国内の宝石サンゴの生息域と思われる海域でROV調査およびCTDによる海水採取を行い、今年度は奄美諸島から九州西部にかけて、40地点から生物統計モデルに必要な環境データ(化学・物理データ)を、11地点から野外の海水サンプルを入手した。採取した海水はフィルターでろ過し、昨年度と来年度の調査サンプルと次年度に合わせて解析するため、長期保存できるように固定した。環境データのうち生物データに関しては、次年度に行う18S領域を用いたメタゲノム解析に向けて、実験試薬・備品の整備や解析パイプラインの学習をおこなった。設備準備や知識習得を踏まえて、次年度に向けた実験計画の見直しを行った。
初年度における研究活動中の研究成果公表ついては、第一著者として国際学会で口頭発表を1つ行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度から実施している野外海水や環境データ収集のための乗船調査は、毎年およそ50地点を調査しているが、今年度は調査地点に台風が直撃したため、調査日数が減り、40地点ほどのデータしか集まらなかった。また、当初、初年度以前に美ら海水族館で予定していた、宝石サンゴの生息域・生物量推定の基盤となる飼育水槽での環境DNA検出実験が、飼育していたサンゴの衰弱により困難となり、初年度に持ち越しとなった。しかし、飼育実験は本年度に黒潮研究所での飼育実験が可能となっただけでなく、当初の予定通りの想定していた実験結果を得ることができた。次年度に向けたメタゲノム解析の実験・解析環境もすでに整え、すぐにでも解析を始めることができる状態であり、初年度以前の遅れを取り返しつつある。
また、本年度することができなかった産卵期と配偶子の受精水深推定のための海水採取についても、来年度の産卵推定期に黒潮研究所近海で実施する目処が立っている。以上のことから本研究は初年度において、多少の遅れはあるもののおおむね順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

宝石サンゴの生息域・生物量の推定に関しては、本年度、飼育実験下での試験的な実験で海水中の宝石サンゴ由来の環境DNAを検出できたことから、来年度からは実際に野外の海水を使った解析を実施する。これまで採水した琉球列島(2021年度)から九州西部(2022年度)にかけての約30地点に加え、来年度の調査予定の高知沖合の15地点、計45地点分の海水からデジタルPCRによって絶対定量を行い、ROV調査で宝石サンゴが確認された地点のみで宝石サンゴ由来の環境DNAを検出できるかどうか検証する。海水の他に調査で得られる環境データのうち、メタゲノム解析を用いる生物データもまた、来年度の調査も合わせた3年間45地点分のサンプルを使って解析を行う予定である。来年度に実施予定の産卵期と配偶子の受精水深推定のための海水採取は、産卵期と推定される5月末から6月末にかけて、宝石サンゴの生息域である高知県沖合で週に1度実施する。海水をろ過後は、初年度に飼育実験下で宝石サンゴの環境DNAの検出に成功したデジタルPCRによる手法を用いて、産卵期の推定を行う。
また、来年度7月にイスラエルで開催される八放サンゴ(宝石サンゴを含む)の研究者が集まるワークショップに参加予定であり、本研究についての情報発信を行うことで他研究者からのアドバイスや共同研究の可能性を探る。宝石サンゴと同所的に生息する八放サンゴの生態学的・分類学的な知識も深めることで、幅広い視点で陸棚域の保全・管理を考えることができる力をつける。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Hidden linegaes and potential deep to shallow connectivity of the brooding coral, Seriatopora hystrix2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Takata
    • 学会等名
      The 58th annual AMSA Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Population genetic analysis for deep-sea corals and reef-building corals in Japan using genome-wide SNP data2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Takata
    • 学会等名
      CIGENE, Norwegian University of Life Sciences, seminar series
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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