研究課題/領域番号 |
22KJ1150
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
曹 旻鑒 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 転位 / 双晶 / その場観察 / TEM / STEM / 機械試験 |
研究実績の概要 |
材料強度は,形状が復元されない変形である塑性変形が進行することで変化するため,塑性変形機構を解明することは非常に重要である.材料強度に顕著に影響する塑性変形機構として双晶や不動転位の形成が知られているが,これらの素過程は未だ明らかになっていない.本研究では,MEMSデバイスを搭載した試料ホルダーと原子分解能透過型電子顕微鏡(TEM)を組み合わせた原子レベルその場機械試験を行い,塑性変形の素過程を直接観察・解明することを目指している.今年度の主な成果は以下の通りである.
今年度の主な成果として,不動転位の形成と分解過程の原子分解能その場観察が挙げられる.金単結晶を対象として走査TEMその場機械試験を行ったところ,2つのすべり面上の転位群が,同一すべり面上の転位間の距離に応じて協調的に運動することで,不動転位が形成・分解される様子が観察された.転位間の距離は材料固有の物性である積層欠陥エネルギーに大きく影響されるため,本観察で得られた微視的な知見は,巨視的な材料強度の発現機構を理解する上で大きなインパクトを持つと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では,金単結晶を対称とした原子分解能その場機械試験を行った.その結果,これまで主に理論上で議論されていた不動転位の形成と分解過程を原子レベルで直接観察することに成功した.本成果は不動転位の基礎学理の理解に大きく貢献すると考えられ,本研究課題はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,双晶の形成過程の詳細な解析を行い,双晶変形機構を解明する予定である.
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