研究課題/領域番号 |
22KJ1166
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北西 祐貴 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | ニューロン / エピジェネティクス / ヘテロクロマチン / 遺伝子発現制御 / 記憶 |
研究実績の概要 |
動物の高次機能を司る脳のニューロンについて、神経伝達の長期増強/抑圧によって神経可塑性が生じることが記憶の形成に大事である。神経伝達が変化するメカニズムには短期間のシナプス局所的な変化がこれまで多く研究されてきた。しかしながら、長期的な神経伝達の変化には核における遺伝子の転写が重要であることは知られているものの、その基盤メカニズムについては研究が遅れている。 本期間では昨年度に実施した初代培養ニューロンにおける網羅的な遺伝子発現解析に加え、各種ヒストン修飾、及びクロマチン因子の結合プロファイルをChIP-seqにより明らかにした。更にHi-Cを使用したゲノムワイドなクロマチン構造変化の解析も進んでいる。次世代シーケンサーを使用した以上のデータを統合的に解釈した結果、長期的な神経伝達の変化につながる核内構造の変化とその分子メカニズムに迫ることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度まで得られていた各種シーケンシング技術による解析結果に本期間中に得られた大規模なシーケンスデータを統合することで、長期的な神経伝達の変化の分子的メカニズムに大きく迫ることができている。さらに、AAVをマウス脳内の特定領域にインジェクションすることにより生体内ニューロンの核構造を制御できる系も整いつつあり、記憶の分子メカニズムの理解にも大幅な進展が生まれている。 以上より、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで初代培養ニューロンにおいて見られていた核内構造の変化が、実際に生体脳内のニューロンにおいて記憶形成過程においても見られるかどうかを検討していく。さらに、これらの変化に重要なクロマチン因子を同定できていることから、AAVインジェクションによる特定脳領域におけるクロマチン因子の操作により実際に記憶へ影響が見られるかを評価する。
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