研究課題/領域番号 |
22J23549
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小森 琢磨 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 中心体 / 細胞分裂 |
研究実績の概要 |
中心体は動物細胞小器官の一つであり、細胞分裂における紡錘体の極として機能する。これまで様々ながん細胞株を対象とした解析から、分離した2つの中心体は、核の下から核を挟むように側面へと移動して核膜崩壊を迎えると考えられてきた。その一方で、正常細胞株では、核膜崩壊時にそれぞれの中心体が核の上下に配置されることも示されている。しかし、この中心体の特徴的な配置の分子機構やその意義は全くの未解明である。本研究では、この特徴的な核膜崩壊時の中心体配置の分子機構を明らかにすることを目的とした。当該年度は以下の実験を行った。 1.核膜崩壊直前の特徴的な中心体配置を決定する因子の同定:複数の中心体関連因子対象とした小規模siRNAスクリーニングを実施し、この現象における主要因子の同定に取り組んだ。ここではZ軸解像度の高い顕微鏡を用いてそれぞれの処理群に対する正確な評価を行った。その結果、複数の因子において中心体の特徴的な配置が減少することが確認された。 2.候補因子のノックアウト細胞株の樹立:得られた候補因子に対し、自身が最適化した手法であるCRISPR-del法を用いてノックアウト細胞株を樹立した。これは標的遺伝子の上流・下流をターゲットとする二種類のsgRNAを同時に導入することで標的遺伝子の全長を欠損させる方法である。これにより、”完全なノックアウト細胞株”の作成に成功し、候補因子の欠損による表現系がsiRNAのオフターゲットである可能性が排除された。 3.ライブセルイメージング系の確立:上記の細胞株に対して中心体と核に蛍光タンパク質を発現する細胞株を作成し、ライブセルイメージングによる解析を行った。これによりノックアウト細胞株中での実際の中心体動態や細胞周期全体に対する影響を詳細に解析することが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画よりも早い段階で、中心体の特徴的な配置に関与する因子が複数獲得できた。また、ノックアウト細胞の観察結果からもそれらの信頼度は十分に高いと考えられる。さらに、ライブセルイメージングの結果から中心体の特徴的な配置における生理学的意義の一部が明らかとなった。以上を踏まえ、このような評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
候補因子による分子メカニズムの解析を行う。また、複数の細胞株(がん細胞株・正常細胞株)を用いて同様のメカニズムが異なる細胞種でも働いているのかを確認する。その後、ライブセルイメージングや薬剤処理を用いて生理学的意義の詳細な解析を行う。
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