研究課題/領域番号 |
22KJ1194
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 加奈子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | サバイバーシップケア / アート実践 / コラージュ / 乳がんサバイバー / セルフトランセンデンス / 語りづらさ |
研究実績の概要 |
今まさに未来を描いている最中にがんと診断され、治療による外見の変化や就労の悩みなどから語りづらさを抱えている。本研究で援用する「セルフトランセンデンス」は、人が生命を脅かす体験や人生を変えるような出来事に直面した時に、自身や環境との相互作用の中で内的・外的境界を拡張しながら今を生きる意味や新たな見地を見いだしていく能力である。現に多くのステージ4の乳ガン罹患者たちはアクティブであり、彼女たちは語り、コミュニティーをつくり、日常生活を生き生きと過ごしている。しかしそれを取り巻く「サバイバーシップケア」は患者が望むものではない場合がある。今一度当事者たちが実践するwell-beingのあり方について考える必要がある中で、今年度は月2回市内のスペースで写真を使ったコラージュサークルをオンライン、対面と環境を整え運営してきた。その間、開始前のコンディションから、回を重ねて参加した後の感想、制作した作品について、各自のストーリーについて、動画や写真を通して記録してきた。エンパワーメントを与えるアートを介した表現の表出についての質的なデータが揃ってきた。これらの内容を、コブマンのアサイラム論や役割距離を用いて分析を行った。さらに、制作するだけではなく、自らが写真の中で演じる写真制作のワークショップと展示会を行い、参加者を募った。今後、表現することで得られるウェルビーイングについての評価方法の検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対面での実施は順調であるが、オンラインで作品をシェアしていくことは少々困難である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、「マイヒストリーというテーマで展示会を企画している。制作から、作品が鑑賞される一連を経験することで、エンパワーメントを獲得することができるか、ビジュアルエスノグラフィーを用いて分析を進める。これらの特徴をデューイの芸術論、ゴフマンの 相互行為論、熊谷晋一郎教授による当事者研究の手法を援用しながら分析を行い、セルフト ランセンデンスや刺激による表現可能性についての評価構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ワークショップ開催の会場使用費に使用するため。
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